債務整理には、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産という4つの方法があります。どれも「借金の返済を法的に軽くする」という点は共通していますが、手続きの進め方や、裁判所が関わる度合いが大きく異なります。
この記事では、それぞれの違いを比較しながら、任意整理を検討する際に準備しておきたいことを整理します。どの手続きが自分に合うかは借金の額や状況によって異なるため、実際の選択は弁護士・司法書士への相談を前提にしてください。
任意整理とは
任意整理とは、裁判所を通さずに、借りている本人(債務者)と金融業者(債権者)の間で話し合いを行い、将来利息のカットなどによって返済総額を減らす方法です。通常は弁護士・司法書士に依頼し、専門家が金融業者との交渉を代行します。
弁護士・司法書士への依頼費用の目安
依頼費用は事務所によって幅がありますが、一般的な内訳は次のとおりです。
- 着手金:借入先1社あたり数万円程度
- 成功報酬:減額できた金額の一定割合
正確な金額は事務所ごとに異なり、時期によっても変わるため、依頼前に見積もりを確認してください。分割払いに対応する事務所や、相談自体は無料の事務所もあります。
任意整理と、特定調停・個人再生・自己破産との違い
任意整理以外の3つの手続きは、いずれも裁判所が関わる点が任意整理と異なります。裁判所の決定を得るためには、返済が困難であることを一定の形で示す必要があり、財産の扱いについても任意整理より踏み込んだ手続きになります。
特定調停との違い
特定調停は、任意整理と同程度の借金を対象にしますが、裁判所(簡易裁判所)が仲介する点が異なります。費用を抑えられる一方、書類の準備を自分で行う必要があるなど、進め方には専門知識が求められる場面があります。
個人再生との違い
個人再生は、借金の元金を含めて大幅に減額できる手続きです。任意整理が任意整理したい借入先だけを選んで手続きできるのに対し、個人再生は住宅ローンを除く借入先すべてが対象になります。保証人がいる借入先も対象から外せないため、保証人への影響という観点では任意整理と大きく異なります。
自己破産との違い
自己破産は、裁判所の手続きにより借金の支払い義務そのものを免除してもらう方法です。任意整理が返済額を減らす手続きであるのに対し、自己破産は原則として借金がなくなる点が最も大きな違いです。その分、一定の財産を手放す必要があるなど、影響の範囲も広くなります。
各手続きの詳しい内容は、債務整理の基本を解説した記事もあわせてご覧ください。
任意整理を検討する際に準備しておきたいこと
用意しておくとよいもの
- 本人確認書類(運転免許証・健康保険証・パスポートなど)
- 印鑑(シャチハタ以外)
- 返済中のクレジットカード・キャッシュカード
状況によっては、借入先の一覧、預金通帳の写し、収入が分かる書類(源泉徴収票・給与明細など)、住民票なども求められることがあります。事務所によって必要書類は異なるため、相談時に確認するのが確実です。
審査で確認されること
任意整理は、次のような点をふまえて交渉の可否が判断される手続きです。
- 一定期間内に返済を続けられる見込みがあるか
- 安定した収入があるか
- 返済していく意思があるか
返済の見込みが立たない場合は、個人再生や自己破産など、別の手続きが選択肢になることもあります。
依頼先の選び方(弁護士・司法書士)
弁護士は借入額にかかわらず手続きを担当できますが、司法書士が代理できるのは、金融業者1社あたりの借入額が140万円以下の場合に限られます(司法書士法の業務範囲による)。借入額が大きい場合は、この点も依頼先を選ぶ基準になります。
任意整理をすると信用情報にどう影響するか
任意整理を行うと、信用情報機関に手続きの記録が登録されます。登録されている間は、新たな借り入れやクレジットカードの発行が難しくなります。登録期間は信用情報機関や事案によって異なるため、正確な期間は各信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター等)の公表情報でご確認ください。住宅ローンや自動車ローンなど、今後大きな借り入れを予定している場合は、依頼前に専門家へ相談しておくと安心です。
まとめ
任意整理・特定調停・個人再生・自己破産は、いずれも借金の返済負担を軽くするための制度ですが、裁判所の関与、対象になる借入先の範囲、財産への影響が異なります。どの手続きが適するかは借金の額や状況によって変わるため、まずは弁護士・司法書士に相談し、現状を正確に伝えたうえで選択肢を整理してもらうことをおすすめします。

