ボーナス後に動くかどうかは、3つの日付を並べれば決まります
給与明細の賞与欄を見て、「これをもらってから辞めるべきなのか、それとも今から動くべきなのか」と手が止まった。そこから検索した人向けです。
結論を先に書きます。この問題は気持ちで決めるとずっと決まりません。(1)賞与の支給日 (2)支給日在籍の条件が就業規則にどう書かれているか (3)内定から入社までにかかる期間、この3つを紙に並べると、いつ動き出すかは自動的に出ます。読み終わったときに、自分の逆算表が1枚できている状態を目指します。
まず、自分の会社の規定を読むところから
賞与の扱いは、法律で全国一律に決まっているものではなく、会社ごとの就業規則や賃金規程で決まっています。だから「ボーナス後の転職はこうするのが正解」という一般解は、実はありません。あるのは、自分の会社の規定を読むという作業だけです。
読むときに探すのは、次の3か所です。
- 支給日在籍の条件。「支給日に在籍している者に支給する」という趣旨の記載があるかどうか
- 査定の対象期間。いつからいつまでの働きに対する賞与なのか
- 退職を申し出る時期。「〇か月前までに申し出ること」という記載
この3つをメモに書き出すだけで、判断に必要な材料の8割は揃います。規定が手元にない場合は、社内のポータルか、就業規則の備え置き場所を確認してください。閲覧できる状態にしておくのは会社側の義務なので、見せてもらうこと自体に後ろめたさは要りません。
ありがちな取り違え ― 「辞める日」と「言う日」は別
ここが一番よく混ざります。賞与に影響するのは、多くの場合退職日であって、退職の意思を伝えた日ではありません。ただし現実には、伝えた時点から社内の空気が変わることはあります。だから「支給日より前に伝えると減る」という話が出回るのですが、これは規定の話ではなく運用の話です。
混ぜないために、日付を2つに分けて書いてください。
- 言う日=退職の意思を上司に伝える日
- 辞める日=最終出社日ではなく、在籍が終わる日
この2つを分けた瞬間に、「支給日をまたいで在籍しつつ、引き継ぎの時間も確保する」という組み方ができるようになります。順番の問題です。
逆算表の作り方(10分でできます)
紙でもメモアプリでも構いません。右から左に、次の順で日付を置きます。
- 賞与の支給日を書く
- その日を「在籍していたい日」として印をつける
- 就業規則の「〇か月前までに申し出る」の期間を、そこから逆に引く
- 内定が出てから入社までにかかる期間を、さらに逆に引く
- 書類の準備と面接にかかる期間を、さらに逆に引く
4と5に入れる期間は、人によって、また職種によってかなり幅があります。在職中は面接の日程調整に時間がかかるぶん、退職後に動くより長くなりやすい、という傾向だけを見込みに入れておいてください。ここに「何か月」と決め打ちの数字を入れると、たいてい後ろにずれて計画が壊れます。幅で持っておくほうが、結果的に崩れません。
この逆算表ができると、「いま動くか、あと3か月待つか」が、感情ではなく引き算の答えとして出ます。そして、たいていの人は「待つ」ではなく「待ちながら準備は始める」という結論になります。準備の段階では、まだ何も決めなくていいからです。具体的に何から始めるかは、在職中の転職準備を何から始めるか確かめるほうを読んでください。
この考え方が向かない場合
- 賞与より優先度の高い事情がある。 心身の調子や家庭の事情が理由なら、賞与の逆算は後回しでいいです
- 転職先の入社日が先に固まっている。 先方の都合が動かないなら、賞与のほうを諦める判断もあります
- 賞与の額が生活の前提になっていない。 数か月の待ち時間と天秤にかけて、待つほうが高くつくこともあります
それと、待っている間に気持ちが冷めることもあります。私はそれを悪いことだとは思っていません。冷めたなら、それは「今の会社でもう少しやれる」という材料が1つ増えたということです。
私の失敗を1つだけ
私は転職活動を5回やって、6社を渡り歩きました。そのうち1回は、賞与のことを完全に忘れて先に話を進めてしまい、あとから「あと1か月ずらしていれば」と気づいたことがあります。金額の話というより、知らずに損することと、知って選ぶことは、あとの納得感がまるで違うという話です。
……と書いておいて何ですが、賞与に合わせて待った結果、その間に求人のほうが締まってしまうこともあります。だから私は「支給日まで動かない」ではなく「支給日まで在籍しつつ、準備は動かす」を勧めています。戻せるコストなら、先に試しておくほうが安いからです。
この記事を書いている人
しばおと申します。1974年生まれの団塊ジュニアです。人材紹介会社の社長をやっていた側の人間で、自分自身も転職活動を5回、6社を渡り歩いてきました。送り出す側と、動く側の両方を見てきた立場から書いています。
私は社会保険労務士のような資格を持っているわけではありません。ここに書いたのは制度の解説ではなく、日付の並べ方の話です。賞与の条件と退職申出の時期は勤務先の就業規則が正であり、判断に迷う場合は各都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどの公的な窓口でご確認ください(2026-08-04時点。最新は公式でご確認ください)。
