枠が2つ出てきて、どちらを選ぶ画面で止まった人へ
NISAの口座を開いたら、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの言葉が出てきた。どちらにチェックを入れるのが正解なのか分からなくて検索した。この記事にたどり着く人は、だいたいそこだと思います。
先に結論を書きます。違いは3か所だけです。①買える商品の範囲 ②年間に使える金額 ③買い方(積立か、一括も可か)。そして、どちらか一方を選ばされる仕組みではありません。併用できます。読み終わると、設定画面のその欄で迷わなくなります。
以下の制度の内容は、金融庁のNISA特設ウェブサイトで2026-08-04に確認した範囲のものです。制度は変わることがあるので、最新は公式でご確認ください。
数字で並べると、こうなります
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間の投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 併用したときの年間合計 | 360万円 | |
| 非課税保有限度額(総枠) | 1,800万円(うち成長投資枠で使えるのは1,200万円まで) | |
| 非課税保有期間 | 無期限 | |
| 口座開設期間 | 恒久化されている | |
| 買える商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁への届出があるもの) | 上場株式・投資信託など。ただし一部が除外されている |
ここで大事なのは、非課税保有限度額の1,800万円は2つの枠の合計だという点です。つみたて投資枠だけで1,800万円を使いきることもできます。一方で、成長投資枠だけを使う場合は1,200万円が上限になります。金融庁のよくある質問に、この2つがそのまま書かれています。
「どっちが得か」より、何が外されているかを見る
2つを比べると、つい「枠が大きいほうが有利では」と考えたくなります。ただ、この制度は同じ商品を2つの窓口で売っているわけではありません。入っていいものの範囲が、枠ごとに違うという作りです。
つみたて投資枠で買えるのは、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託として金融庁に届出されたものだけです。その一覧は公表されていて、届出一覧の最終更新は2026年6月17日となっています。
成長投資枠のほうは、上場株式や投資信託など範囲が広いのですが、そちらにも除外があります。金融庁の資料には、整理銘柄・監理銘柄と、信託期間が20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などが除外される、と書かれています。
私は、こういう制度を見るときは「何を入れているか」より「何を外しているか」を先に見るようにしています。外している側に、その仕組みが何を避けようとしているかが出るからです。ここで外されているのは、期間が短いもの、頻繁に分配して元本を取り崩す形になりうるもの、値動きの振れ幅が大きくなりうるもの。長く持つことを前提にした器なのだ、という形が見えます。
……と書いておいて何ですが、外されていないからといって、残っているものが全部あなたに合うわけでもありません。制度の側の線引きは、商品の良し悪しの判定ではなく、枠に入れてよいかどうかの線引きです。中身をどう選ぶかは、結局のところ自分で決める部分として残ります。
併用の仕方と、枠が戻る仕組み
2つの枠は同じ年に併用できます。金融庁は、つみたて投資枠で積立を続けながら、成長投資枠で個別の銘柄に一括で投資することもできるようになった、と説明しています。
ただし、条件が2つあります。
- NISA口座は1人1口座。つみたて投資枠と成長投資枠を、別々の金融機関で使うことはできません。1つの金融機関でまとめて使う形になります。
- 金融機関の変更は年単位。変更は可能ですが、その年のNISA口座ですでに上場株式等の受入れをしている場合、その年分の変更はできない扱いです。
枠の再利用についても、作りを知っておくと判断が変わります。非課税保有限度額は買付け残高(簿価残高)で管理されているので、商品を売った場合は、その商品の簿価の分だけ翌年以降に枠を再利用できます。売ったその場で枠が空くわけではありませんし、売却によって損益が無くなるわけでもありません。
それでも決まらないときの決め方
設定画面で選ぶという話に戻すと、実務としてはこうなります。
- 毎月一定額を自動で積み立てたいなら、つみたて投資枠の欄で設定する。買える範囲は届出のある投資信託に絞られますが、積立の設定はここで完結します。
- 個別の株式を買いたい、投資信託でも届出の一覧に無いものを買いたい、という具体的な目的があるなら、成長投資枠を使う。目的が無いのに枠が大きいほうを選ぶ理由は、とくにありません。
- 両方使いたければ併用する。合計の枠は年360万円、生涯で1,800万円という上限の中に収まります。
そして、いま両方を埋めようとしなくていい人のほうが多いと思います。年間360万円という数字は、使い切ることが前提の目標ではありません。枠が余っても、罰があるわけではないです。埋めることを目的にすると、金額のほうが家計から浮きます。
私の場合と、注意しておきたいこと
私は1974年生まれの団塊ジュニアで、人材紹介会社の社長をやり、自分でも転職を5回、6社を渡り歩いてきました。金融商品取引業の登録も、投資助言の登録もしていない個人です。ここに書いた制度の内容は、金融庁のNISA特設ウェブサイトで2026-08-04に確認した範囲のもので、それ以外は自分の経験です。
私は若い頃、短期の売買を15年ほどやっていました。当時の自分なら、迷わず枠の大きいほうを選んで、一括で大きく張っていたと思います。実際そうやって、20分で1,000万円近い含み益が出たあと、逆に振れて大きく負けました。いまは毎月の積立の側に寄せています。これは私の選択であって、あなたに向くかどうかは別です。
枠の違いが分かったら、あとは設定画面を埋めるだけです。積立の始め方を設定画面まで確認すると、枠の選択から引き落としの設定まで続けて片づけられます。
どちらの枠で買う場合でも、投資信託や株式には元本割れのおそれがあります。将来どうなるかは事前には分かりません。ここに書いたのは制度の作りであって、どの枠でどれを買うべきかという話ではありません。判断はいつも、あなた自身のものです。制度の内容は変わることがあるので、最新は金融庁および口座を開く金融機関の公式情報でご確認ください。
