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口座だけ作って、そこから一歩も動いていない人へ

会社の休憩中に同僚から「積立の設定、もう済ませた?」と聞かれて、口座を開いたところで止まっていることを思い出した。この記事にたどり着く人は、だいたいその状態だと思います。

先に結論を書きます。積立の設定で決めるのは5つだけです。①どの口座で買うか ②何を買うか ③毎月いくらにするか ④いつ買うか ⑤お金をどこから引くか。この記事で扱うのは、仕組みと手順と、続け方だけです。読み終わると、今日どこまで進められるかが決まります。

あわせて先に置いておきます。投資信託には元本割れのおそれがあります。金融庁も、預貯金より高いリターンを期待できる一方で元本割れのおそれがある、と説明しています(2026-08-04時点)。

先に書いておくと、私は15年ぶん遠回りをしました

手順の話をする前に、自分の失敗から書きます。私は25歳から40歳ごろまで、株、信用取引、CFD、FX、日経225先物ミニと、短期の売買をずっとやっていました。FXは最大で15〜16倍のレバレッジをかけていました。

いちばん大きかった場面はこうです。米国の大統領がある軍事作戦を承認したというニュースが流れた日、私はS&P500のCFDを大きく空売りしました。20分で1,000万円近い含み益が出ました。そのあと相場は逆方向へ動き、踏み上げられて、スパッと切って大きく負けました。それで資本が薄くなり、サラリーマンに戻る一因になっています。

そのとき腹に落ちたのは、この一点です。ハイレバレッジで一回勝って資金が増えると、同じレバレッジでやったときに、次に負けた時点で全部失う。勝ち方が同じなら、負け方も同じ大きさで来る、というだけの話でした。

そのあと、バフェット関連の書籍を30冊以上読みました。一番良かったのは『スノーボール』です。読み終えて、私は指数に連動する投資信託を毎月一定額ずつ積み立てる形に切り替えました。これは私が選んだやり方であって、あなたに合うかどうかは別の話です。

頭の中で置き換えたのは、目標のほうでした。30代で億を作る、ではなく、50歳になったら3億持てりゃいい。そこまで下げたら、毎月の設定を淡々と回すだけで足りるようになりました。

……と書いておいて何ですが、若いうちに短期をやること自体を否定はしません。夢がありますし、私も15年やりました。大事なのは、破れたところで長期に切り替える頭の切り替えのほうだと思っています。

そもそも「積立の設定」とは何をすることか

積立の設定とは、証券会社の画面で「この商品を、毎月この金額、この日に、この口座のお金で買う」という指示を1回だけ登録する作業です。登録すると、次の月からは自動で買付が行われます。毎月ログインして注文を出す作業は発生しません。

金融庁は積立投資を「一括で投資するのではなく、あらかじめ決まった金額を、続けて投資すること」と説明しています。そして、続けて買うことで「安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまうことを避けられる」としています(2026-08-04時点)。裏返すと、この仕組みの主眼は相場を当てにいかないことにあります。

費用の話も先に置きます。口座を開くこと自体に費用がかかるかどうか、買付や保有にどんな手数料がかかるかは、金融機関ごとに条件が違います。私が言えるのは「金額は会社によって違うので、開く前に公式の手数料ページを見たほうが早い」ということだけで、ここで数字を断定はしません。

ここまでが、どの金融機関を選んでも共通する話です。あとは自分がどこで口座を持つかを決めるだけなので、口座を選ぶときに見る費用の項目を確かめるところから始めると、このあとの設定が一度で終わります。値動きのある商品を買う以上、元本割れのおそれは口座の選び方では消えません。

設定画面で決める5つ(順番に)

ここからは淡々と書きます。設定画面そのものは、私の場合は10分ほどで終わりました。口座の開設からだと本人確認の審査があるので、数日みておくと予定が崩れません。

  1. どの口座で買うかを決める。NISA口座で買うか、課税口座で買うかの選択です。NISA口座は1人につき1口座しか持てません。同じ年に複数の金融機関で開くことはできない仕組みになっています。
  2. 何を買うかを決める。ここは自分で選ぶ場所です。目論見書で見る項目は、何に連動する商品なのか、信託報酬などの費用がどれだけかかるか、純資産総額はいくらか、運用の期間はいつまでか、分配をどう扱う方針か。つみたて投資枠で買える商品は金融庁への届出があるものに限られ、その一覧が公表されています(届出一覧の最終更新は2026年6月17日)。
  3. 毎月いくらにするかを決める。金額は途中で変えられます。最初から上限いっぱいにしないほうが、あとで下げるときに気持ちの負担が小さくて済みます。
  4. いつ買うかを決める。買付日と頻度(毎月・毎週・毎日など)を選びます。選べる頻度と締切は金融機関ごとに違います。
  5. お金をどこから引くかを決める。証券口座の残高から引く、銀行口座から引き落とす、といった選択です。引き落とし方法によって、申込の締切日と実際の買付日がずれます。あわせて、分配金を受け取る形にするか再投資する形にするかも、この画面で決めることが多いです。

1番でつまずく人がいちばん多いのは、そもそも口座がまだ無い場合です。証券口座を開くところからの手順を見ると、1番から5番までを続けて片づけられます。

3番の金額は、投資の話というより家計の話です。先に手取りと固定費のほうを見ておくと決まりやすいので、毎月の積立額を家計から決める順番を見ると、5番の引き落とし設定まで一度で終わります。

4番の買付日は、有利な日を当てにいく話ではありません。生活のリズムと引き落としの都合で決める話なので、買付日と頻度の決め方を確かめると、残高不足で買付が止まる形を避けられます。

NISAの枠は、どういう作りになっているか

2024年から始まったNISAの内容を、金融庁のNISA特設ウェブサイトで確認した範囲で並べます(すべて2026-08-04時点。制度は変わることがあるので、最新は公式でご確認ください)。

  • 年間の投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円。併用でき、合計で年間360万円まで。
  • 非課税保有限度額(総枠)は1,800万円。うち成長投資枠で使えるのは1,200万円まで。つみたて投資枠だけで1,800万円を使いきることもできます。
  • 非課税保有期間は無期限。制度(口座開設期間)も恒久化されています。
  • 枠は買付け残高(簿価残高)で管理されるので、売却した場合はその商品の簿価の分だけ、翌年以降に枠を再利用できます。
  • 利用できるのは、日本国内に住んでいる18歳以上の人(利用する年の1月1日時点で18歳以上)。口座は1人1口座で、金融機関の変更は年単位で可能です。
  • つみたて投資枠と成長投資枠を、別々の金融機関で使うことはできません。

枠が2つあると聞くと、どちらを使えばいいのか迷います。対象になる商品と買い方が違うだけで、優劣がついているわけではないので、2つの枠の使い分けを制度から確認すると、2番の商品選びの範囲がはっきりします。

向かない人・いまは見送っていい人

全員がいま始めたほうがいい、という話ではありません。次に当てはまる人は、今回は見送っても損はしません。

  • 1年から3年のうちに使う予定のあるお金しか手元にない人。値動きのある商品は、使いたい日に減っていることがあります。使う日が決まっているお金と、当面使わないお金は分けておくほうが先です。
  • 当面の生活費の分を、現金で分けられていない人。先に現金の置き場を作ってからのほうが、下がった局面で売らずに済みます。
  • 金利の高い借入が残っている人。返済のほうを先に片づけたほうが、家計全体では計算が合いやすい場面があります。
  • 値動きを見ると眠れなくなる人。これは性格の問題ではなく、金額の問題であることが多いです。金額を下げるか、いまは見送るかのどちらかで解けます。

逆に、上の4つのどれにも当てはまらないなら、あとは口座をどこに持つかを決めるだけです。はじめの1社をどう決めるかを確かめるところまで進めておくと、設定画面に入るまでが1日で済みます。どの会社を選んでも、投資信託に元本割れのおそれがあることは変わりません。

つまずきやすいところ

一次情報で確認できる範囲と、私自身が引っかかった箇所を並べます。

  • 証券口座はできているが、NISA口座がまだ有効になっていない。NISA口座は1人1口座で、開設の手続きが別に走ります。積立の設定だけ先に済ませて、課税口座で買っていた、というずれが起きます。
  • 引き落とし口座の残高が足りず、その月の買付が行われない。給与の入金日と引き落とし日の前後関係を先に確認しておくと防げます。
  • 設定したつもりで、確認画面の最後まで進んでいない。登録後に「積立の予定日」が画面に出ているかどうかで確かめられます。
  • 年間の枠を使い切るつもりが、12月に間に合わない。年内の買付として扱われる締切は金融機関ごとに違います。日付は各社の公式で確認してください。
  • 売れば枠がすぐ戻ると思っている。金融庁の説明では、再利用できるのは翌年以降です。しかも戻るのは簿価の分で、売却によって損益が無くなるわけでもありません。
  • 金融機関を変えたくなったが、その年はもう変えられない。変更は年単位で、その年のNISA口座ですでに買付があると、その年分の変更はできない扱いです。

設定が終わったあとに効いてくるのは、手順よりも続け方のほうです。やめたくなった時の続け方を読んでおくと、下がった月に画面を開いたときの反応が変わります。

私の場合と、これから設定する人へ

私は1974年生まれの団塊ジュニアです。人材紹介会社の社長をやり、自分でも転職を5回、6社を渡り歩いてきました。金融商品取引業の登録も、投資助言の登録もしていない個人です。この記事に書いた制度の内容は、金融庁のNISA特設ウェブサイトで2026-08-04に確認した範囲のもので、それ以外は自分の経験です。個別の判断は、口座を開く金融機関や公式の案内でご確認ください。

積立に切り替えてから、私がやっていることは多くありません。金額を決めて、日付を決めて、あとは半年に一度くらい残高を見るだけです。短期をやっていた15年間より、明らかに手数が減りました。

……と書いておいて何ですが、手数が減ったぶん、退屈です。相場が動いた日にニュースを見て、何もしないでいるのは、慣れるまで落ち着きません。私は最初の1年、けっこう画面を開いていました。

最後に、これだけは外さないでおきたい線を書いておきます。投資信託には元本割れのおそれがあります。将来どうなるかは、私にも誰にも事前には分かりません。私の記録は私の結果であって、あなたの結果を約束するものではありません。やるかどうかも、いくらでやるかも、判断はいつも、あなた自身のものです。

お金まわりは、どこから手をつけるかで消耗の量が変わります。お金の整理をどこから始めるか見ると、今日やることが1つに絞れます。

この記事の制度に関する数値は、2026-08-04時点で金融庁のNISA特設ウェブサイトに公表されていた内容にもとづいています。制度も各社の条件も変わることがあるので、最新は金融庁および口座を開く金融機関の公式情報でご確認ください。