「マイナンバーカードがないと開けないの?」で止まった人へ
証券口座の申し込みで本人確認の画面まで来たものの、マイナンバーカードを作っていない。通知カードならある気がする。撮って送るのが不安。そのあたりで止まった人向けに書きます。
先に結論です。求められているのは2つ、「本人確認」と「マイナンバーの確認」で、根拠になっている法律が別々です。マイナンバーカードがあれば1枚で両方を兼ねられますが、なくても書類を2種類そろえれば足ります。以下、2026-08-04時点で公式資料に当たって確認した内容です。
そもそも、なぜ2つ求められるのか
1つめは、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)にもとづく「取引時確認」です。証券会社は法律上の「特定事業者」で、口座を開くときに本人特定事項(氏名・住居・生年月日)、取引を行う目的、職業を確認する義務があります(警察庁の公表資料・令和6年4月1日時点)。
2つめは、税のためのマイナンバーです。日本証券業協会の案内では、証券会社は法律に基づいて「証券取引に関する口座開設の申請・届出」と「証券取引に関する法定書類の作成・提出」に対応するためにマイナンバーを使うと説明されています。用途は法律で定められた目的に限られ、それ以外に使うことや他人に提供することは禁じられています。
目的が違うので、書類も別々に求められます。ここが分かると「なんでこんなに出させるんだ」という気持ちが少し収まります。
マイナンバーカードがある場合/ない場合
ここからは淡々と書きます。日本証券業協会の案内では、必要な書類はこう整理されています。
- マイナンバーカードを持っている場合。カード1枚で、マイナンバーの確認と本人確認の両方をまかなえます。
- 持っていない場合。マイナンバーを確認する書類(マイナンバーが記載された住民票の写し、住民票記載事項証明書、または通知カード)と、運転免許証などの本人確認書類を組み合わせて、複数の書類を出すことになります。
通知カードには注意が要ります。2020年5月25日以降、新規発行も再交付も行われていません。手元にあるものは、記載されている氏名や住所が住民票の内容と一致している場合に限って、番号を確認する書類として使えます。引っ越しや改姓のあとは一致していないことがあります。
本人確認書類のほうは、警察庁の資料で範囲が決まっています。顔写真があるものとしては運転免許証、運転経歴証明書、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカード、旅券(パスポート)など。顔写真のないものとしては各種健康保険証、国民年金手帳、母子健康手帳、印鑑登録証明書、戸籍の附票の写し、住民票の写しなどが挙げられています。顔写真がない書類を使う場合は、追加の確認が組み合わされます。
有効期限にも決まりがあります。有効期限のある書類は、会社が提示または送付を受ける日に有効であること。有効期限のない書類は、原則としてその日の前6か月以内に作成されたものであること。住民票の写しを何年も前に取ったまま使う、というのは通りません。
住所が現在のものと違うときは、補完書類が使えます。納税証明書、社会保険料の領収証書、公共料金の領収証書などで、原則6か月以内のものです。ただし通知カードは補完書類には含まれません。
オンラインで完結する方法は、法律側で7通り決まっている
「スマホで撮って送るだけ」と案内されているものの中身は、法律で類型が定められています。金融庁の資料では、個人向けにオンラインで完結できる方法が次のように整理されています。
- 写真付き本人確認書類の画像+顔(容貌)の画像。会社が提供するソフトを使って送ります。
- 写真付き本人確認書類のICチップ情報+顔の画像。読み取り機能のあるスマートフォンで行います。
- 本人確認書類の画像またはICチップ情報+銀行等への顧客情報の照会。
- 本人確認書類の画像またはICチップ情報+本人名義口座への振込み。振込金額が記載された通帳の写し等を送る形です。
- スマートフォンに搭載されたカード代替電磁的記録を使う方法。
- マイナンバーカードに記録された署名用電子証明書(公的個人認証)を使う方法。
- 民間事業者が発行した電子証明書を使う方法。
細かいところでは、「画像」は静止画に限らず動画も含まれるとされています。撮影のときに書類を斜めに傾けるよう指示されるのは、本人確認書類の「厚みその他の特徴」まで確認できることが求められているためです。嫌がらせではなく、条文の要求です。
郵送でやる場合に、何が起きるか
郵送を含む方法では、書類を送るだけでは終わりません。警察庁の資料では、非対面の確認方法として「本人確認書類の写しの送付を受けるとともに、その書類に記載されている住居あてに、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法」が挙げられています。郵便が届くことまでが確認方法に含まれている、ということです。
証券口座については、さらに固有の類型が置かれています。同じ資料に「証券口座を開設する場合に、本人確認書類の写しの送付およびマイナンバーの提供を受けるとともに、その写しに記録されている住居あてに取引関係文書を転送不要郵便物等として送付する方法」が並んでいます。証券は税の法定書類の関係でマイナンバーが要るので、条文が別立てになっているわけです。
転送されない扱いで送られるので、住民票の住所に住んでいないと届きません。実家に住民票を置いたまま一人暮らしをしている人が、いちばん引っかかります。
よくある止まり方
- 入力した氏名・住所が住民票と1文字違う。旧字体、番地のハイフンの有無、マンション名の省略で起きます。
- 書類の有効期限が切れている。受け取る日に有効である必要があります。
- 撮影で書類の端が切れている、光が反射している。厚みや外形が確認できないと差し戻されます。
- 通知カードの記載が住民票と合っていない。結婚や引っ越しのあとは、住民票の写しを取り直すほうが早いことがあります。
- 顔写真のない書類だけで進めようとする。追加の確認が組み合わされるので、その分だけ手数が増えます。
出したマイナンバーは、どう扱われるのか
不安の中身がここにある人も多いと思うので、公表されている事実を書きます。
日本証券業協会の案内では、証券会社はマイナンバーについて厳格な管理態勢を整備することが求められており、たとえばマイナンバーの取扱担当者以外は顧客のマイナンバーを取り扱わないこと、データを管理する場所の入退室管理やシステムへのアクセス制御を行うことが挙げられています。また、法律で定められた目的以外での使用や第三者への提供は禁じられています。
確認の記録については、犯収法で7年間の保存が義務づけられています。これは会社の裁量ではなく法律側の要求です。
それと、これは書いておきます。マイナンバーを口実にした詐欺への注意喚起も同じ案内に出ています。証券会社を名乗る不審な連絡があったら、その連絡先ではなく、公式サイトに載っている窓口へ確認してください。
私の場合はこうでした
私は1974年生まれの団塊ジュニアで、人材紹介会社の社長をやりながら、自分でも転職活動を5回、6社を渡り歩いてきました。投資のほうは、25歳から40歳ごろまで株や信用取引、CFD、FX、日経225先物ミニで短期売買をして大きく負け、そこから米国株の長期インデックスへ切り替えた側です。
口座を作っていた頃は、まだ紙と郵便が中心でした。書類を送って、返ってくるのを待って、また送る。正直、いまのほうがずっと楽です。面倒なのは事実ですが、面倒さの大半は「先に住民票を確認していない」ことから来ています。そこだけ先に潰せば、たいていは一度で通ります。
ちなみに口座が開いたあとの話をすると、投資した金額は減ることもあります。本人確認が通ったことと、増えることは何の関係もありません。当たり前ですが、当時の私はそこを混ぜて考えていました。
書類がそろったら、あとは順番に進めるだけです。初めての証券口座開設の手順をまとめて見ると、本人確認が全体のどこに入るかが分かります。
必要書類や提出方法の細かい条件は、会社によって、また時期によって変わります。この記事は2026-08-04時点で確認した内容なので、最新は各社の公式サイトでご確認ください。
