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「うちは特例が使えるのか」を、先に自分で判定したい人へ

相続した実家を売ると、3,000万円まで控除できる特例があるらしい。

そこまでは聞いた。

でも要件がやたら細かくて、自分の家が当たるのかどうかが分からない。

私も国税庁のページを開いて、イとロとハで一度画面を閉じました。

あれは、読ませる気があるとは思えない構成です。

先に結論を書きます。

判定は「家屋」「期限」「売り方」「金額と相手」の4か所だけ。

この4つを順に見れば、候補に入るかどうかは自分で判断できます。

読み終わると、税理士に相談すべき家かどうかが決まります。

最初に大事な点を1つ。

最終的な適用の可否は、税務署か税理士でないと決められません。

もう1つ、先に振り分けをします。

その家が小田急沿線にあるなら、売るときに選べる相手の条件が他の地域と違います。

そこだけ先に見るなら、小田急沿線に物件がある場合の選択肢へ

そもそも、どういう特例なのか

正式には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といいます。

相続または遺贈で取得した家屋や敷地を売ったとき、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる仕組みです。

対象になるのは、2016年4月1日から2027年12月31日までの譲渡(2026年8月7日に確認)。

金額に例外があります。

2024年1月1日以後の譲渡で、その家屋と敷地を相続または遺贈で取得した相続人の数が3人以上の場合。

この場合の控除額は2,000万円までになります。

兄弟3人で相続した実家、というのはよくある形です。

ここで金額が変わることは、先に知っておくほうがいい。

判定その1|家屋の条件(3つとも満たすこと)

ここからは淡々と書きます。

  • 1981年5月31日以前に建築されたこと。
  • 区分所有建物登記がされている建物ではない。
  • 相続開始の直前に、被相続人以外の居住者がいなかったこと。

1つめは、旧耐震の時代に建てられた家かどうかという線引きです。

建築年は、登記事項証明書で確認できます。

2つめで、分譲マンションは原則として外れます。

この特例は、一戸建ての空き家を想定した制度だからです。

3つめが見落とされやすい。

親と同居していた家族がいた場合、その家は「空き家」になりません。

亡くなる直前にひとり暮らしだったかどうかが分かれ目です。

例外が1つあります。

要介護認定などを受けて老人ホーム等に入所していた場合、一定の要件を満たせば対象になる。

この場合の細かい条件は、国税庁のコード3307で別に定められています。

判定その2|期限と、売り方の3パターン

期限は1つだけ覚えれば足ります。

相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。

2026年5月に相続が開始したなら、2029年12月31日が期限です。

年末が締切なので、逆算すると動ける時間は思ったより短い。

売り方には3つのパターンがあります。

  1. 耐震基準を満たしたうえで、家屋(と敷地)を売る。
  2. 家屋を全部取り壊してから、敷地を売る。
  3. 売ったあと、翌年2月15日までに耐震改修か取壊しを済ませる。

3つめは、2024年1月1日以後の譲渡に限って認められた形です。

買主側で耐震改修や取壊しをする場合に使えます。

それまでは売主が先にやるしかなかったので、ここは実務が大きく変わったところ。

どのパターンでも共通する条件があります。

相続の時から譲渡の時まで、事業の用・貸付けの用・居住の用に供されていないこと。

言い換えると、いったん人に貸すと使えなくなります。

取り壊して駐車場にした場合も、貸付けに当たります。

「売れるまで誰かに使ってもらおう」は、この特例とは相性が悪い。

取り壊して敷地を売る場合は、もう1つ。

取壊しの時から譲渡の時まで、建物または構築物の敷地の用に供されていないことが要件です。

判定その3|金額と、売った相手

  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 親子や夫婦など、特別の関係がある人に売っていない。
  • 同じ被相続人から取得した財産で、この特例をすでに使っていないこと。
  • 取得費加算の特例など、他の特例の適用を受けていない。

1億円の判定には、合算のルールがあります。

一体として利用していた部分を分けて売った場合や、他の相続人が売った部分も含めて判定します。

期間は、相続の時から売却日の3年後の年末までです。

ここには落とし穴があります。

いったん特例を受けたあとで、残りの部分を売って合計が1億円を超えた場合。

その売却の日から4か月以内に、修正申告と納税が必要になります。

最後の項目も見落とせません。

相続税を納めた人が使える「取得費加算の特例」とは、同時に使えない関係にあります。

どちらが有利かは、売値と納めた相続税額で変わります。

添付書類と、つまずきやすいところ

この特例は、確定申告をしないと適用されません。

売り方によって書類が変わりますが、基本になるのは次のものです。

  • 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)。
  • 売った資産の登記事項証明書等。
  • 市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」。
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し。
  • 売買契約書の写しなど、1億円以下であることが分かるもの。

いちばん時間が読めないのが、3つめの確認書です。

物件の所在地を管轄する市区町村に申請して交付を受けます。

電気やガスの使用中止日が分かる書類など、空き家であったことを示す資料も求められる。

問い合わせ先は税務署ではなく、市区町村の担当課です。

ここを間違えると、往復が1回増えます。

耐震基準適合証明書にも、条件が1つ。

譲渡の日前2年以内に、証明のための調査が終了しているものに限られます。

古い証明書が引き出しから出てきても、使えないことがある。

なお、登記事項証明書は添付を省略できる場合があります。

「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」に不動産番号を書く方法です。

つまずきやすい点を、まとめて並べておきます。

  • 売れるまでのあいだに人へ貸してしまう。
  • 3年の期限を、亡くなった日の3年後だと思い込む。
  • 確認書の準備を、売買契約のあとから始めてしまう。
  • 取得費加算と併用できると考えている。
  • 相続人が3人以上いる場合の控除額を、3,000万円のままで計算する。

期限があるぶん、金額の目安は早めに

この特例には、はっきりした締切があります。

相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日。

そこから逆算する必要があります。

耐震改修や取壊し、確認書の取得、そして買主探し。

これらを積み上げる時間が要ります。

売ると決めてから動き出すと、年末に間に合わないことがある。

とはいえ、慌てて売る必要もありません。

先に必要なのは、いくらで売れそうかという数字のほうです。

金額が分かれば、控除を使ったときの手取りも見当がつきます。

まだ現実化していない金額まで含めて算段できるかどうか。

お金の判断では、そこが分かれ目だと私は考えています。

売るまでの順番は別の記事にまとめました。

相続した実家を売るまでの手順と必要書類を見ると、この特例をどこに置けばいいか、査定をどこへ頼むかまで分かります。

この記事の立ち位置

私は1974年生まれの団塊ジュニアです。

人材会社をやっていました。

自分でも転職を5回、6社を渡り歩いています。

税理士ではありません。

この記事の要件は、すべて国税庁が公表しているタックスアンサーの内容にひもづけて書きました。

私の解釈は入れていません。

……と書いておいて何ですが、要件を全部満たしていても、書類が1枚そろわないと適用されないのがこの特例です。

判定より、書類のほうが手強い。

金額が大きい話です。

実際に使えるかどうかは、所轄の税務署か税理士で確認してください。

相談のときに、この記事の4つの判定を持っていくと話が早く進みます。

この記事の内容は2026年8月7日時点で確認したものです。

税制は改正されます。

最新は国税庁の公表内容でご確認ください。

この記事を書いた私がどういう人間かは、運営者情報のページに書いた経歴をご覧ください。