債務整理を頼むかどうかを決める前に、その事務所が信用できるかどうかを自分で確かめる方法があります。特別な知識は要りません。公開されている情報を引くだけで、かなりの部分は確認できます。
特定の事務所をおすすめする記事ではありません。どこに頼むかを決めるのはご自身です。ここでは、決める前に自分で確認できることだけを書きます。
なお「そもそも弁護士と司法書士のどちらの担当になるのか」は、借入先1社あたりの金額で法律上決まります(1社140万円が境目で、超える分は弁護士の担当です)。まだそこが決まっていない方は、先にそちらをはっきりさせてください。この記事は、相談先の見当がついたあとで読む話です。
1|「認定」を受けているかを、会の名簿で確かめる
司法書士が債務整理を代理できるのは、法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」だけです。認定がなければ、金額にかかわらず代理はできません。弁護士の場合は、弁護士会に登録があることが前提になります。
これは事務所の自己申告を信じるしかない話ではなく、各会が公開している名簿で引けます。
- 司法書士=各都道府県の司法書士会が会員検索を公開しています。法人なら法人登録番号、個人なら登録番号で引くと、事務所の所在地と、簡裁訴訟代理等関係業務の認定があるかどうかまで確認できます
- 弁護士=日本弁護士連合会が弁護士情報の検索を公開しています
照合するときは、事務所名ではなく登録番号で突き合わせてください。債務整理の分野は似た名前・同じ名字の事務所が多く、名前だけで照合すると別の事務所を見ていることがあります。
2|費用を、契約の前に書面で出してもらう
相談が無料でも、依頼して手続きを進めれば費用がかかります。確認するのは次の4点です。
- 総額の見込み(相談料・着手金・報酬・実費の内訳)
- 支払い方(分割にできるか。できるなら何回まで、月いくらか)
- 途中でやめたときにどうなるか
- それを契約前に書面で出してもらえるか
これを聞くのは失礼なことではありません。むしろ、金額の話を口頭で済ませようとする、書面を出し渋る、といった対応のほうを判断材料にしてください。司法書士には日本司法書士会連合会の指針で報酬の規律があり、弁護士にも同様の規律があります。費用の説明は、本来きちんと行われるものです。
3|面談があるかを確かめる
依頼まで進むときは、受任する専門家と直接会って話す面談があるのが原則です。弁護士は債務整理事件処理の規律を定める規程で、司法書士は日本司法書士会連合会が2025年4月に定めた「債務整理事件の処理に関する指針」で、それぞれ直接面談を原則としています。
ですから、「面談なしで受任できます」「電話だけで完結します」と告げる事務所には注意してください。読者にとっては手間が省けるように聞こえますが、規律のほうから見ると逆で、省いてはいけない手順を省いていることになります。
4|担当するのが誰かを確かめる
担当する弁護士・司法書士の氏名と、所属する会(弁護士会・司法書士会)が確認できるか。事務所のサイトに代表者しか出ていない場合は、自分の件を実際に担当するのは誰かを相談の場で聞いてください。
あわせて、連絡の取り方(誰に、どの手段で、どれくらいで返事が来るか)も最初に決めておくと、あとで困りません。手続きは数か月から年単位で続くことがあります。
5|広告の書き方を見る
意外に分かりやすいのが、広告の表現です。専門家の広告には、会が定めた規律があります。そこで違反例として名指しされている表現が出ているなら、それ自体が判断材料になります。
- 借入額を入れるだけで結果が出る「減額診断」「減額シミュレーター」=入力しただけでは処理方針は判断できないため、判断できるかのように見せる表示は違反例に挙げられています
- 「国が認めた借金減額制度」のような、制度の性格を言い換えた表現
- どのように入力しても「減額できる可能性があります」と出るもの
- 不安をあおる書き方(「今すぐ請求しないと失われます」など)
それから、結果を約束する表現にも気をつけてください。減額できるか、いくら減らせるかは、借入先・借入時期・収入・資産で大きく変わります。実際の見通しは、専門家が事情を聞いたうえでなければ判断できません。会う前から結論を言い切る説明は、そもそも成り立ちません。
専門家の資格を持たない業者が債務整理をうたう例もあります。見分け方は債務整理の相談先で注意したいこと(非弁業者の見分け方)に分けて書いています。
依頼したあと、最初に起きること
依頼を受けた事務所は、貸金業者に受任通知を送ります。これが届くと、業者は本人へ直接の取り立てができなくなります(貸金業法21条1項9号)。これは事務所の力量ではなく、法律の効果です。そこを特別なことのように説明する事務所より、淡々と手順を説明する事務所のほうが信用できます。
そのあとは、任意整理なら業者との交渉、個人再生・自己破産なら裁判所を通じた手続きへ進みます。
まとめ
依頼する前に自分で確認できるのは、①認定・登録を会の名簿で引く ②費用を書面で出してもらう ③面談があるか ④担当者が誰か ⑤広告の書き方、の5つです。どれも相手の親切さに頼らず、自分の側で確かめられることばかりです。
迷ったら、急がないでください。相談は無料でも、依頼は契約です。一晩置いてから決めていいし、納得できなければ断ってかまいません。
情報の最終確認日:2026年8月29日時点。費用や受付体制は事務所ごとに異なり変わることもあるので、最新の内容は各事務所の案内で確認してください。

