「あれ、税金が6倍になるらしいよ」と言われた人へ
親戚の集まりで、誰かがそう言った。
あるいは、市から空き家の管理をお願いする紙が届いた。
この記事にたどり着く人は、だいたいそのあたりだと思います。
先に結論を書きます。
土地の税額が上がるのは、市区町村から勧告を受けた場合。
時期は、その翌年度の課税からです。
空き家であるというだけでは、上がりません。
白状すると、私はこの話を最初に聞いたとき、自宅の納税通知書を引っ張り出しました。
空き家など1軒も持っていないのに。
数字が一人歩きすると、だいたいこうなります。
いつから上がるのか。答えは「勧告の翌年度」
固定資産税には、賦課期日という日が決まっています。
毎年1月1日です。
その日の状態を見て、その年度の税額が決まります。
東京都主税局の案内は、この点をはっきり書いています。
賦課期日である1月1日の時点で見る、という書き方です(2026年8月7日に確認)。
その日までに勧告への必要な措置が講じられていない土地は、住宅用地の特例の対象から外れる。
つまり、順番はこうなります。
助言・指導が来て、それでも直らないと勧告が出る。
その状態のまま1月1日を迎えると、その年度の課税から特例が外れる。
ここは、急に来る話ではありません。
手前に指導の段階があり、そこで直せば勧告まで行かない設計になっています。
そもそも、何が外れるのか
上がる理由は、新しい税金ができたからではありません。
住宅用地の特例という軽減が外れるからです。
人が住む家の敷地について、税の計算のもとになる金額を小さくしてくれる仕組みを指します。
東京都主税局が出している表を、そのまま引きます(2026年8月7日に確認)。
- 小規模住宅用地(1戸につき200平方メートルまでの部分)は、固定資産税が価格の6分の1になります。
- 同じ部分の都市計画税は、価格の3分の1です。
- 一般住宅用地(それを超える部分)は、固定資産税が価格の3分の1。
- 同じ部分の都市計画税は、価格の3分の2です。
特例が外れるというのは、この掛け算がなくなるということ。
税率が上がるわけではありません。
もとになる金額が、元に戻るだけです。
それで、本当に6倍になるのか
いまの数字を見ると、「6倍」がどこから来たのかが分かります。
固定資産税の小規模住宅用地は6分の1。
これが外れれば、計算のもとは6倍になる勘定です。
ただ、都市計画税のほうも見てください。
こちらは3分の1です。
外れても、もとになる金額は3倍にしかなりません。
納税通知書には、この2つが並んで載っています。
合計額で見れば、6倍にはならない計算です。
自治体の説明も、そう書いています。
静岡市の公式ページは、こう述べています(2026年8月7日に確認)。
「土地の規模などで状況は異なるものの、土地の固定資産税及び都市計画税が約4倍の額になります」。
それと、もう1つ。
固定資産税には、負担調整措置という仕組みがあります。
税額の上がり方を、なだらかにするためのものです(総務省の説明・2026年8月7日に確認)。
だから倍率を、そのまま自分の通知書に当てはめられるとは限りません。
正確な金額を知りたいなら、市区町村の資産税の窓口に聞くのが早い。
手元の納税通知書を見ながら電話すれば、話が早く済みます。
外れるのは、どういう場合か
ここからは淡々と書きます。
国土交通省の資料によると、住宅用地の特例から外れるのは次の場合です(2026年8月7日に確認)。
- 特定空家等として、市区町村長から勧告を受けた敷地。
- 管理不全空家等として、市区町村長から勧告を受けた敷地。
この2つ目が、2023年12月13日に施行された法改正で加わった分です。
それまでは、特定空家等の勧告だけが対象でした。
言葉の意味も、法律に書いてあります。
特定空家等は、放置すれば倒壊などのおそれがある空家等のこと。
著しく衛生上有害となるおそれがある状態や、景観を著しく損なっている状態も含みます。
管理不全空家等は、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある空家等です。
適切な管理が行われていないことが前提になっています。
指導の対象と勧告の対象も、分かれています。
指導は「放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態」。
勧告は「指導しても改善されず、そのおそれが大きい状態」です。
もう1つ、知っておくと役に立つ話があります。
国土交通省の同じ資料に、総務省の通知の内容が引かれていました。
次の場合は、特例の対象となる「住宅」に当たらないとされています。
- 構造上、住宅と認められない状況にある場合。
- 使用の見込みがなく、取壊しを予定している場合。
- 居住のために必要な管理を怠っていて、今後人が住む見込みがないと認められる場合など。
勧告とは別の道筋もある、ということです。
取り壊せば下がる、とは限りません
ここは誤解が多いところなので、事実だけ置いておきます。
東京都主税局の案内に、こういう質問と答えが載っています(2026年8月7日に確認)。
賦課期日の時点で建物を取り壊した土地は、住宅の敷地とはいえない。
だから住宅用地の特例に該当せず、税額が上昇する、という説明です。
ただし、建て替えの場合は別の扱いがあります。
前年度の賦課期日に住宅だった土地に、住宅を建て替えるとき。
要件をすべて満たせば、特例を続けられる場合があると書かれています。
勧告を受けたあとの話も、同じ資料にあります。
必要な措置を講じたら、まず勧告を出した区に連絡する。
区が確認して、勧告を撤回したとします。
その場合は、撤回された日以降の賦課期日の状況を見て、使えるかどうかが改めて判断されます。
戻る道はある。
ただし、戻すのも1月1日を1つの区切りにして進みます。
私が思っている、この話の本当の論点
私は電気の契約を新電力に変えて、月に2,000円ほど下がりました。
大した工夫はしていません。
古い契約のまま置いてあっただけです。
あのとき思ったのは、これでした。
古いものは古い時代の技術や仕切りで成り立っているので、一度は見に行ったほうがいい。
これはあらゆることについて言えます。
空き家も、たぶん同じ構造です。
親が住んでいた頃の前提のまま、こちらの認識だけが止まっている。
その間に、制度のほうは2023年12月に変わりました。
……と書いておいて何ですが、実家の話は電気の契約とは重さが違います。
感情の整理がつかないまま数字だけ突きつけられても、動けないのが普通でしょう。
だから私は、順番の話をしています。
まず、いま自分がどの段階にいるかを確かめる。
指導も勧告も来ていないなら、時間はあります。
急ぐ話ではありません。
ここから先が必要な人と、そうでない人
勧告を受けておらず、当分は管理を続けられる見通しが立っている人。
その人は、この先を読まなくて大丈夫です。
年に何回か風を通しておけば、しばらくは今のままで足ります。
問題は、そうでない場合。
管理を続けられる自信がなく、いずれ手放すかもしれないと思っている。
その状態なら、次に決まるのは「いくらで動かせるものなのか」です。
金額が1つも分からないままだと、売るも貸すも比べようがありません。
ただ、査定は1社に決め打ちするものではありません。
物件の場所や種類で、向いている会社が変わります。
1社ずつ見てもらう形と、まとめて頼む形では、そもそも目的が別です。
そこから先の進め方は、実家の売却査定の選択肢と順位を確かめるとつながります。
候補と、どういう人にどれが向くかまで並べてあります。
この記事を書いた私について
私は1974年生まれの団塊ジュニアです。
人材会社をやりながら、自分自身も転職活動を5回、6社を渡り歩いてきました。
お金の話を書いているのは、資格があるからではありません。
私は税理士でも宅地建物取引士でもない。
だからこの記事では、自分の解釈を足さず、国や自治体が公表している内容をそのまま置きました。
税額や制度の当てはめは、物件ごとに違います。
金額の大きい話なので、自分の土地がどうなるかは市区町村の資産税の窓口か税理士に確認してください。
ここでは、そこまでは扱いません。
この記事の内容は2026年8月7日時点で確認したものです。
制度は改正されることがあります。
最新は国土交通省・総務省・お住まいの自治体の公式サイトでご確認ください。
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