申し込んだ直後に、連絡がまとまって来るのはなぜか
まとめて査定を頼んだら、数社から相前後して連絡が来た。
あるいは、そうなる前に仕組みだけ知っておきたい。
どちらの入り口でも、見るものは同じです。
一斉に連絡が来るのは、強引だからではなく、仕組みがそうできているからです。
理由が分かると、身構えずに選べるようになる。
ちなみに私は、知らない番号の着信を3日ほど寝かせる癖があります。
今回それをやると、話が1ミリも進みません。
連絡の来方は、頼む相手の型で決まります。
連絡の来方で相手を選ぶという考え方を先に見ておくと、この記事の話が早い。
まず、連絡してきているのは誰か
ここを分けると、話が整理できます。
まとめて頼む形は、入力した物件情報が登録している複数社へ同時に渡る仕組みです。
つまり連絡してくるのは、依頼を受け取った不動産会社そのもの。
申し込んだサイトが電話をかけてくるわけでは、ありません。
各社は、ほぼ同じタイミングで同じ情報を受け取っています。
だから連絡の開始時刻も、そろう。
一斉に来る理由は、3つの事実でできています
順に見ていきます。
ひとつめ——査定は無料で、会社の収益は仲介手数料です。
公益財団法人不動産流通推進センターの案内を見ます。
仲介手数料の請求権が発生するのは、売買契約が成立したときだけ。
契約が成立するまで、依頼した側が支払うものはありません。
裏を返すと、会社の側は売却を任せてもらえなければ1円も受け取れない。
査定は、その入口です。
ふたつめ——最終的に売却を任せる会社は、絞られます。
売却を正式に依頼するときに結ぶのが、媒介契約。
3種類あります。
- 専属専任媒介契約=1社だけに依頼する/自分で見つけた相手とも、その会社を通して取引する
- 専任媒介契約=1社だけに依頼する/自分で見つけた相手とは直接契約できる
- 一般媒介契約=複数社に同時に依頼できる/ただし最終的にどの会社を通して取引を進めるかは決めることになる
専属専任と専任は、他社へ重ねて依頼できません。
一般でも、成立するのは最後に間に入った1社の取引です。
みっつめ——先に話ができた会社ほど、有利になります。
これが競争の正体。
各社は「まだ他社に決めていないうちに、物件のことを詳しく聞きたい」と考えます。
この3つが重なると、依頼した数だけ、ほぼ同時に連絡が始まります。
誰かが失礼をしているわけではない。
構造が、そうなっているだけです。
仕組みの、話です。
電話の中身は、たいてい物件の確認です
身構えるほどの内容ではないことが多い。
データだけで出す机上査定でも、前提が違えば数字はずれます。
だから先に、確認が入る。
- 間取り・面積・建てた年・増改築やリフォームの有無
- いま住んでいるか、空き家か
- 売却を考えている時期の目安
- 訪問査定に進む場合の日程
不動産会社は、価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければなりません。
宅地建物取引業法第34条の2第2項に、そう定められています。
根拠のある数字を出すために、材料を聞いている。
そう考えると、聞かれること自体には理由があります。
連絡のされ方は、自分で決められます
ここは、思っているより自由に決められる。
- 依頼する会社の数を自分で決める/まとめて頼む画面でも、送信先は選べるのが一般的
- 連絡手段と時間帯を、申込フォームの備考に書く/「メール希望」「平日18時以降」と入れておくだけで変わる
- 見送るときは、はっきり伝える/「今回は見送ります」の一言で足りる
3つめには、制度の裏づけがあります。
宅地建物取引業者は、相手方が契約しない意思を示したのに勧誘を続けることを禁じられている。
迷惑を覚えさせるような時間に電話や訪問をすることも、同じく禁止です。
宅地建物取引業法施行規則第16条の12に、そう定められています。
「迷惑を覚えさせるような時間」は、一般に午後9時から午前8時までと考えられています。
「お断りします」「必要ありません」で足ります。
断ったあとに、何かを失うこともありません。
そこが分かっていれば、最初の1本は、ただの情報収集になる。
気になるなら、順番のほうを変える手もあります
連絡の量が気になるなら、依頼の形を変えるという選び方があります。
まとめて出すのは、相場の幅を広く知りたいときに向いた形です。
まず数字を1つ持って落ち着いて考えたいなら、1社に絞って受ける形もある。
どちらが良いという話ではなく、目的が違うだけです。
頼み先の形は、大きく3つに分かれます。
複数社へまとめて渡す形、1社で完結する形、それに相続の手続きそのものを相談する窓口。
入口が似ているだけで、やることが違います。
もう1つ、量の話を足しておきます。
まとめて出す形は、入力そのものは短く済みます。
ただし比べるには、全社へ同じ物件情報を渡す必要があります。
渡した材料が違えば、返ってきた数字は並べても比較になりません。
つまり比べるための下ごしらえが、送信したあとに残る。
連絡の本数だけでなく、ここも含めて量を見たほうが正確です。
どの形から入るかは、相手の型を知ってから決めると迷いません。
1社に絞る形とまとめて出す形の選び分けと、自分がどちらに向くかが決まります。
この記事を書いている私について
私は1974年生まれの団塊ジュニアです。
かつて人材会社をやっていて、自分でも転職を5回、6社を渡り歩いてきました。
資格があるから書いているわけでは、ありません。
お金の話を見るとき、私がまず確かめるのはその取り分が誰に流れているかです。
無料のサービスには、無料で成り立つ理由が必ずある。
それを知ってから使えば、無料の道具はちゃんと役に立ちます。
……と書いておいて何ですが、私も昔は「無料」の2文字を素通りしていました。
取り分を見る癖がついたのは、自分でさんざん授業料を払ったあとです。
査定額は、その金額で売れることを約束するものではありません。
制度や各社の運用は変わるので、2026年8月7日時点で確認した内容としてお読みください。
税金の扱いは物件ごとに違うため、ここでは扱いません。
連絡の本数を先に決めておきたい方は、査定を頼む相手を決めるための5つの軸をどうぞ。
この記事を書いた私がどういう人間かは、運営者情報のページに書いた経歴をご覧ください。

