買ったときの契約書が見つからず、押し入れの前で止まっている人へ
兄弟に「売ったら税金いくら取られるの」と聞かれて、答えられなかった。
実家の押し入れを探したけれど、買ったときの書類が出てこない。
この記事にたどり着く人は、だいたいその状態だと思います。
先に結論です。
取得費が分からなくても、計算は止まりません。
国税庁は、売った金額の5パーセントを取得費にしてよい、という扱いを認めています。
読み終わると、何を探せばいいのかと、見つからなかったときにどうなるかが決まります。
ちなみに私は父の家の書類を探して、昭和の年賀状の束を発掘しました。
目的のものは出てきませんでした。
あの押し入れには、たぶん時間が積んであります。
そもそも「取得費」とは、何を指すのか
先に用語を1回だけ開きます。
取得費(買ったときにかかった金額のこと)は、税金の計算で売った金額から引ける部分です。
ここが大きいほど、税金のもとになる金額は小さくなります。
国税庁の説明では、中身がこう分かれています(2026年8月7日に確認)。
- 土地は、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額。
- 建物は、購入代金などの合計額から、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額。
建物のほうは、年数が経つほど目減りする形です。
この差が、あとで効いてきます。
分からないときは、売った金額の5パーセント
ここが、この記事のいちばん大事なところです。
国税庁のタックスアンサーには、こう書かれています(2026年8月7日に確認)。
先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなど、取得費が分からない場合。
その場合は、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。
実際の取得費が5パーセントを下回るときも、同じ扱いが可能です。
国税庁が挙げている例が分かりやすいので、そのまま置きます。
土地建物を3,000万円で売って、取得費が不明のとき。
その5パーセントである150万円を、取得費とすることができます。
ここで気づいてほしいのは、順番のほうです。
5パーセントは、あくまで見つからなかったときの受け皿。
探すほうが先です。
相続した家は、親が買ったときから数えます
ここも、知っているかどうかで結果が変わるところです。
相続で取得した土地建物を売った場合、取得費は自分が払った金額ではありません。
被相続人が買い入れたときの購入代金や購入手数料などをもとに計算します(国税庁・2026年8月7日に確認)。
つまり、探す先は自分の書類棚ではない。
親が持っていた書類のほうです。
同じ説明に、もう1つ書かれていることがあります。
業務に使われていない土地建物を相続で取得した際に、相続人が支払った登記費用や不動産取得税の金額も取得費に含まれる。
ただし5パーセントの扱いを使う場合は、それらを取得費に含めることはできません。
ここは、両取りができない仕組みになっています。
期間の数え方も、引き継ぎます
「相続してすぐ売ったから短期になる」と思っている人が多いところです。
実際は違います。
国税庁の説明では、相続によって取得したときは、被相続人の取得の時期がそのまま引き継がれます(2026年8月7日に確認)。
判定は、被相続人が取得した時から、売った年の1月1日までの所有期間で行う。
親が30年前に買った家なら、相続の翌月に売っても長期の側になる、という数え方です。
その長期と短期で、税額の計算が変わります。
国税庁の記載を、そのまま並べます。
- 長期(売った年の1月1日現在で所有期間が5年超)は、課税長期譲渡所得金額の15パーセントが所得税。これに住民税5パーセントが加わります。
- 短期(同じ日で所有期間が5年以下)は、課税短期譲渡所得金額の30パーセントが所得税。住民税は9パーセントです。
- 平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて申告・納付。
倍近く違います。
だから、いつ買った家なのかを先に確かめる意味があります。
取得費のほかに、引けるもの
引けるのは取得費だけではありません。
譲渡費用(売るために直接かかった費用)も差し引けます。
国税庁が例として挙げているのは、次のようなものです(2026年8月7日に確認)。
- 仲介手数料
- 測量費
- 売買契約書の印紙代
- 売却するときに借家人などに支払った立退料
- 建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用など
計算の形は単純です。
譲渡価額から、取得費と譲渡費用を引く。
そこから特別控除があれば、さらに引きます。
領収書は、売り終わってから探すと出てきません。
先にまとめておくほうが早いです。
手取りで見る。ただし、ここから先は私が断定しません
私はお金の話を見るとき、表に出ている数字をそのまま信じないようにしています。
不動産の利回りなら、表面7パーセントでも実質は3.5パーセントくらいだと置いて考える。
「まだ現実化していない利益まで想定した上で算段できるか」が、いつも分かれ目だと思っています。
実家の売却も、たぶん同じです。
売値がそのまま手元に残るわけではない。
取得費と譲渡費用と税金を引いた後が、本当の数字です。
……と書いておいて何ですが、その計算を自分だけでやり切るのは、正直しんどいと思います。
特例の組み合わせが絡むと、話は一段複雑になります。
たとえば、相続した空き家を売ったときの特別控除。
国税庁のチェックシートには、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例との併用はできないと書かれています(2026年8月7日に確認)。
どちらが有利かは、金額と要件で変わります。
ここから先は、私が断定できるところではありません。
金額の大きい話です。
実際の計算と特例の当てはめは、税理士か税務署で確認してください。
この続きが要る人と、要らない人
買ったときの売買契約書が手元にあり、金額も分かっている人。
その人は、この先を読まなくて大丈夫です。
あとは電卓の話なので、税務署の相談窓口で足ります。
見つからなかった人は、決めることが1つ増えます。
5パーセントで計算するなら、税金のもとになる金額は売値に比例して動く。
つまり「いくらで売れそうか」が分からないと、手取りの見当がつきません。
逆に言えば、金額の目安が1つあれば、下限のほうから考えられます。
その目安は、1社だけに聞いて決めるものではありません。
同じ家でも、会社によって出てくる数字は動きます。
どこに頼むかは、物件の場所と種類で向き不向きが出ます。
1社ずつ見てもらう形と、まとめて頼む形では目的が違うので、比べる前に並べたほうが早い。
そのための段取りは、売却査定を頼む先の候補と順位をまとめて見るとまとまっています。
順位の根拠も、使う側の手間と向き不向きで書いてあります。
この記事を書いた私について
私は1974年生まれの団塊ジュニアです。
人材会社をやりながら、自分自身も転職活動を5回、6社を渡り歩いてきました。
税の話を書いているのは、資格があるからではありません。
私は税理士ではありませんし、宅地建物取引士でもない。
だからこの記事では、解釈を足さず、国税庁が公表している内容をそのまま置きました。
ここに書いた内容は、2026年8月7日時点で確認したものです。
税制は改正されます。
最新の要件と税率は、国税庁の公式サイトでご確認ください。
自分の場合にいくらになるのかは、この記事では扱いません。
物件と年によって答えが変わるからです。
金額が大きいので、税理士か税務署に確認してください。
書いている人間の経歴は、運営者情報のページに置いてあります。
