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「訪問査定」の3文字で、手が止まった人へ

実家の値段を調べたら、聞き慣れない言葉が2つ出てきた。

机上査定と、訪問査定。

訪問の2文字で、いったん手が止まる。

ここにたどり着く人は、だいたいその状態だと思います。

先に結論です。

迷ったら机上査定から。

数字を見てから、訪問に進むかを決めれば足ります。

読み終わると、申し込む前にそろえるものまで決まる。

ついでに書くと、机上査定の「机上」は机の上で済むからです。

ひねりは、ありません。

本題に入る前に、条件が大きく違う人だけ先に振り分けます。

小田急線の沿線に物件がある方です。

新宿から小田原までの小田原線、江ノ島線、多摩線のあたり。

この場合は選べる相手が変わるので、先に沿線に物件がある人向けの選択肢を読んでから戻ってきてください。

該当しない方は、そのまま読み進めて大丈夫です。

机上査定と訪問査定は、何が違うのか

どちらも「価格査定」と呼ばれるものです。

公益財団法人不動産流通推進センターの案内を見ます。

価格査定とは、不動産会社が取引だけを目的に価格を評価すること。

売り出し価格を決める参考情報として使われます(2026年8月7日に確認)。

手法は、取引事例などの客観的なデータを使うものとされています。

勘で出しているわけでは、ない。

そのうえで、査定は大きく2種類に分かれます。

  • 簡易査定・机上査定=周辺の取引事例や公的な価格情報から出す簡便な査定/相場のあたりをつける段階で使われる
  • 詳細査定・訪問査定=現地で土地の形や建物の傷み具合まで見て行う詳細な査定/売り出し価格を決める段階で使われる
  • 訪問査定では、登記記録や法規制、上下水などの整備状況も調べたうえで数字を出す

ここで1つ、混ざりやすい言葉を分けます。

不動産鑑定士が行う「鑑定評価」は、国の基準にもとづく別の制度です。

ここで扱うのは、不動産会社が売買のために行う価格査定のほう。

どっちが先か。これは順番だけの話です

結論は変わりません。

机上査定は、物件が特定できればだいたい始められます。

先に数字を1つ手に入れる。

そのうえで、訪問に進むかを決めればいい。

この順番なら、家の中を見てもらう前に一度立ち止まれます。

戻せることは、先に一度やってみるほうがいい。

私はそう思っています。

机上査定は、数字を受け取ったところでやめても失うものがありません。

訪問は、日程を合わせて在宅する必要がある。

だから後ろに置くほうが、疲れません。

……と書いておいて何ですが、訪問でしか分からないこともあります。

建物の傷み方や、境界の具合。

データだけでは、そこまで拾えない。

だから売り出し価格を決める段階では、訪問査定のほうが向いています。

順番だけの、話です。

ここまでが、どの会社に頼んでも共通する話です。

あとは自分がどこへ、どんな形で頼むかだけ。

1社に絞って査定を受ける流れを確認するところから見ておくと、迷う回数が減ります。

どこに、どんな形で頼むか

ここからが、この記事の後半です。

頼み方の形と、頼み先の順番を続けて見ます。

1社に出すか、まとめて出すか

査定というと、複数社へまとめて頼む形を思い浮かべる人が多いと思います。

まとめて出す形と、1社に絞る形。

どちらが良いという話ではありません。

目的が、違います。

  • 相場の幅を広く知りたい、複数社の説明を比べたい → まとめて出す形が向く
  • まず数字を1つ持って落ち着いて考えたい → 1社に絞る形が向く

相続の直後で頭の整理がついていないなら、私は後者から入るほうが楽だと思います。

比べるのは、考えがまとまってからでも遅くない。

もう1つ、書いておきたいことがあります。

まとめて出す形は、入力そのものは短く済むことが多い。

1回の入力で、複数社へ同時に渡るからです。

ただ、入力が短いことと、最後まで進めやすいことは別だと思っています。

手が止まりやすいのは、入力欄ではなくその先です。

  • 渡る先の数が、送信する時点では見えにくい/自分の名前と連絡先が同時に何社へ届くのか、押す前に把握しづらい
  • 連絡が何本、いつ来るのかが読めない/各社がほぼ同じタイミングで情報を受け取るので、開始時刻もそろう
  • 比べるには、比べる前提を自分でそろえないといけない/全社に同じ物件情報を渡していないと、返ってきた数字は並べても比較にならない

3つめが、いちばん見落とされるところだと思います。

比べるために出したのに、比べられる状態にするまでにもう一段の作業が残る。

だから入力の短さは、そのまま気楽さにはなりません。

念のため書きますが、まとめて出す形が悪いという話ではない。

幅を広く知りたい段階には、そちらが向いています。

順番の、話です。

まとめて出す形では、申し込みのあとに複数社から相前後して連絡が来ます。

強引だからではなく、仕組みがそうなっているだけ。

先に申し込みのあとに連絡が来る仕組みを見ると、身構えずに選べます。

母数の広い順に並べると、こうなります

並べる前に、私が何を見たかを書きます。

基準は3つです。

  • 物件の所在地で対象から外れる人が少ないか(全国か、エリアが限られるか)。
  • やりとりの相手が1社で済むか、複数社になるか。
  • 売却の査定なのか、相続の手続きそのものの相談なのか。
順位名前依頼のかたちこういう人に向く
1ノムコム(野村不動産ソリューションズ)全国が対象。1社に絞って自社で査定する形まず数字を1つ持って、落ち着いて考えたい人
2SREリアルティ(ソニーグループ)1社に絞る形。対応エリアは物件ごとに確認が要る1社完結型を、もう1つ比べておきたい人
3いえカツLIFE複数社へまとめて診断を依頼する形相場の幅を広く知っておきたい人
控えラクウル/nocos相続の手続きに寄った相談窓口分け方も名義も、まだ動いていない段階の人

1位にした理由は単純です。

全国が対象なので、物件の所在地で「うちは対象外だった」となる人がいちばん少ない。

そのうえで1社に絞る形なので、やりとりの相手が基本1社で済みます。

相続の直後は、それだけで助かります。

私が見ているのは金額の大小ではなく、手間の総量です。

2位のSREリアルティも、1社に絞るという性格は同じです。

違うのは、対応エリアが物件によって変わるところ。

自分の物件が対象に入っているかを確かめる手間が、1つ増えます。

だから順位は下ですが、対象に入っているなら意味があります。

1社完結の見積もりが2つそろうと、数字の幅が見えるからです。

3位のいえカツLIFEは、目的が違います。

複数社へまとめて診断を依頼する形なので、相場の幅を知るには早い。

その代わり、連絡は複数の会社から相前後して来ます。

優劣の話ではありません。

幅を知りたいなら複数社、まず数字を1つ持ちたいなら1社。

順位が下なのは、相続の直後という前提で並べたからです。

控えの2つも、おまけではありません。

ラクウルとnocosは売却の査定より前段、相続の手続きそのものに寄った窓口です。

分け方も名義もまだ動いていないなら、こちらのほうが話が早い場合があります。

1位に挙げたノムコムについては、申し込む前に知っておくことを別にまとめました。

全国対応で1社完結の査定の中身を見ると、連絡の来方まで先に分かります。

対応エリアもサービスの中身も変わります。

申し込む前に、各社の公式サイトで最新を確かめてください。

そしてどこで受けても、出てくる数字は見込みであって売却価格の約束ではありません。

申し込むと何が起きるのか、何を用意するのか

お金が動くのはいつか

ここからは淡々と書きます。

査定そのものは、無料で受けられるのが一般的です。

会社の収益源は、売買が成立したときの仲介手数料だから。

制度としても、はっきりしています。

仲介手数料の請求権が発生するのは、売買契約が成立したときだけ。

契約が成立するまで、支払うものはありません(2026年8月7日に確認)。

手数料の額には、上限があります。

宅地建物取引業法にもとづく上限で、これを超えて受け取れば法令違反です。

ただし上限は上限であって、当然にその額を請求できるわけではない。

私はお金の話を見るとき、まずその取り分が誰に流れているかを見ます。

査定した会社は、その後の売却も任せてほしいと考えている。

それを知って使えば、無料の査定は十分に役に立つ道具です。

用意するもの(2026年8月7日時点)

机上と訪問で、必要なものが変わります。

  • 机上査定=地図と登記記録(登記簿)など/ほとんどの場合、物件が特定できれば可能
  • 地図は、不動産会社に備え付けのもので足りることも多い
  • 訪問査定=上記に加えて、購入時の重要事項説明書や建築関係書類などの詳細資料
  • 会社が独自に調べることもできるが、先に出せると査定は速く進む
  • 住所・面積・築年を拾いやすい1枚=固定資産税の納税通知書

どの資料が要るかは、物件で変わります。

足りない分を不動産会社が調べてくれることもある。

そろわないから申し込めない、とはなりません。

5つの手順

  1. 手元の情報を集める/住所・面積・間取り・建てた年(納税通知書があれば、だいたい足りる)
  2. 机上査定を申し込む/物件の種類とエリアが対象かを、申込先の案内で先に確認する
  3. 数字を受け取り、根拠の説明を聞く/ここで止めてもかまわない
  4. 訪問査定に進むかを決める/売り出し価格を具体的に決める段階になったら進む
  5. 売却を任せるなら媒介契約を結ぶ/査定と媒介契約は別の手続きで、査定を受けただけでは義務は生まれない

つまずきやすいところ

  • 名義が本人になっていない/売却には登記上の名義が要るので、査定は受けられても売る段階で止まる
  • 会社ごとに渡す情報が違う/前提条件が違うと査定価格は比較できないので、同じ物件情報を渡す
  • 不具合を伏せてしまう/雨漏りや傾きの情報も出したほうが、数字は正確になる
  • その場で決めてしまう/媒介契約を求められても、一度持ち帰って構わない

査定額は「その値段で売れる」という約束ではありません

ここが、いちばん誤解されるところだと思っています。

査定価格は、売り出し価格を決めるための参考情報です。

契約が成立した価格は「成約価格」と呼ばれ、査定額とは別の数字。

売り出してみないと分からない部分が、どうしても残ります。

その成約価格の傾向は、自分でも見に行けます。

指定流通機構(レインズ)が、実際に売買された物件の価格を検索できるサイトを公開しているからです。

相場観をつかむための環境として、誰でも使えるように整えられたものです(2026年8月7日に確認)。

そしてもう1つ。

同じ物件でも、会社によって査定額に差が出ることがあります。

これも普通に起きること。

差が出たときの見方を先に持っておくと、落ち着きます。

会社ごとに査定額が違う理由を確かめると、数字の大小だけで判断せずに済みます。

条件が合う人だけに効く選択肢

ここは、当てはまる人だけ読んでください。

当てはまらない人には、使えない話です。

小田急線の沿線に物件がある場合です。

新宿から小田原までの小田原線、相模大野から藤沢・片瀬江ノ島へ向かう江ノ島線、新百合ヶ丘から唐木田へ向かう多摩線。

この沿線が生活圏に入っている物件、という意味です。

この場合、小田急不動産の売却査定が候補に入ります。

小田急沿線を営業の中心にしてきた会社です。

査定は、周辺の取引事例を材料に組み立てるものでした。

ということは、その地域の取引をよく見ている相手ほど、材料の密度が上がる。

地域を絞って営業している会社の強みは、そこにあります。

だから沿線に物件があるなら、私は上の表より先にここを見ます。

逆に沿線から外れていると、そもそも使えません。

使える人の範囲がはっきり決まっている、という種類の選択肢です。

だから表の中には入れず、ここに分けて置きました。

順番の上に置くと、沿線外の方には最初の一段目が無駄になってしまうからです。

対応できる範囲や物件の種類は、変わります。

沿線かどうかの線引きも、会社の営業範囲と完全に一致するわけではない。

申し込む前に、最新の案内でご確認ください。

向かない人・今は見送っていい人

次に当てはまる人は、今回は見送っても損はしません。

手続きは逃げないので、条件が整ってからで間に合います。

  • 売る意思がまったくなく、金額を知る必要もない人/困っていないなら、無理に動かなくていい
  • すでに任せると決めている会社がある人/そこに聞くほうが早い
  • 誰が引き継ぐかが決まっていない人/遺産分割も相続登記も進んでいないなら、先にそちらから
  • 在宅の時間を作れない人/訪問査定は見てもらう時間が要るので、机上だけにする選び方もある

逆に、どれにも当てはまらないなら、あとは自分の条件で進めるだけです。

対応エリアや物件の種類は、変わることがあります。

まず1社で相場の目安を手に入れるときに、自分の物件が対象かも合わせて確認しておくと空振りしません。

私が不動産の数字を見るとき、最初に見ていること

私は1974年生まれの団塊ジュニアです。

人材会社をやりながら、自分でも転職を5回、6社を渡り歩いてきました。

不動産については、売る側ではなく借りて持つ側で数字を触ってきた人間です。

資格があるから書いているわけでは、ありません。

収益物件の話で、私が確かめるのはほぼ1つ。

月々のキャッシュフローがプラスになるか。

極論すれば、これだけです。

金利が高くても、利回りが高ければいい。

利回りが低いなら、金利は安くなければいけない。

その釣り合いだけを見ます。

表面利回りは、実質だとおおむね半分になります。

表面7%なら、実質3.5%くらい。

そこを飛ばすと、あとで月々が回りません。

査定額も、同じ性質の数字だと思っています。

大きいほうが嬉しいのは当たり前。

ただ、大きい数字が正しい数字とは限りません。

だから私は、金額そのものより、その出し方の説明を先に聞きます。

……と書いておいて何ですが、実家の話は数字だけでは動きません。

家族の話でも、あるからです。

それでも、数字が1つあると入口が変わります。

「売ろう」ではなく「いくらか分かった」から始められる。

金額を知って持ち続けると決めたなら、何も知らずに放置しているのとは別のことです。

お金まわりの手続きは、査定だけを切り離すより順番で見たほうが迷いません。

お金まわりの手続きの順番をまとめて見ると、どこから手をつけるべきかが分かります。

制度や手数料の条件は、変わります。

この記事は2026年8月7日時点で確認した内容です。

申し込む前に、最新の案内をご確認ください。

売却益にかかる税金や特例の要件は、物件ごとに違います。

金額の大きい話なので、ここでは扱いません。

税務署や税理士に、ご確認ください。

この記事を書いた私がどういう人間かは、運営者情報のページに書いた経歴をご覧ください。