下がった月に口座を開いて、指が止まった人へ
ニュースで相場が下げたと聞いて、久しぶりに口座を開いた。評価額が赤い数字になっていて、積立の設定を止めるボタンの上で指が止まった。この記事にたどり着く人は、だいたいその状態だと思います。
先に結論を書きます。続けるかどうかは、気持ちの強さでは決まりません。やめる/続けるの二択にしないこと、見る頻度を決めておくこと、手元に現金を分けておくこと。この3つの設計で、たいていの場面は越えられます。読み終わると、いま押すボタンが決まります。
先に置いておきます。投資信託には元本割れのおそれがあります。これから上がるとも下がるとも、私には分かりませんし、誰にも事前には分かりません。ここに書くのは、分からないままでも回る形の作り方です。
私は一度、続けられなくなった側の人間です
続け方の話をする資格が私にあるとすれば、それは続けられなかった経験があるからです。
私は25歳から40歳ごろまで、株、信用取引、CFD、FX、日経225先物ミニで短期の売買をやっていました。FXは最大で15〜16倍のレバレッジをかけていました。ある日、米国の大統領が軍事作戦を承認したというニュースを見て、S&P500のCFDを大きく空売りしました。20分で1,000万円近い含み益が出ました。
そのあと相場は逆へ動き、踏み上げられて、スパッと切って大きく負けました。資本が薄くなって、サラリーマンに戻る一因になっています。
そのとき分かったのは、これです。ハイレバレッジで一回勝って資金が増えると、同じレバレッジでやったときに、次に負けた時点で全部失う。勝ち方の大きさと、負け方の大きさは、同じ設定から出てきます。
そこからバフェット関連の書籍を30冊以上読みました。一番良かったのは『スノーボール』です。読み終えて変えたのは手法より先に、目標のほうでした。30代で億を作る、をやめて、50歳になったら3億持てりゃいいにした。そこまで下げてはじめて、毎月の設定を淡々と回すだけの形になりました。
誤解のないように書いておくと、若いうちに短期をやること自体を否定はしません。夢がありますし、私も15年やりました。大事なのは、破れたところで長期に切り替える、その頭の切り替えのほうだと思っています。
やめたくなるのは、だいたいこの4つの場面
- 相場が下がったとき。いちばん分かりやすい場面です。ただ、実際に手が動くのは下がった瞬間より、下がった状態が数か月続いたあとのほうが多いです。
- 数字を見すぎているとき。毎日開いていると、増減の幅そのものに慣れず、判断が短くなります。
- 生活が変わったとき。収入が下がった、支出が増えた、家族が増えた。これは相場と関係なく起きます。
- 他人の儲け話を見たとき。短期で大きく増やした話を見ると、自分の設定が遅く見えます。私が15年やっていたのはその側です。
この4つのうち、3つめは実際に金額を下げるべき場面です。あとの3つは、金額ではなく設計で対応できます。ここを混ぜると、生活が理由なのに相場のせいにしたり、その逆をやったりします。
「やめる/続ける」の二択にしない
いちばん効くのがこれです。積立の設定には、やめる以外の選択肢があります。
- 金額を下げる。月3万円が重いなら1万円にする。設定は変更できます。下げるのは失敗ではなく、調整です。
- いったん止める。止めても、すでに買った分がそのまま残ります。再開もできます。
- 買付日をずらす。残高が足りずに止まっているだけなら、日付の問題です。
売ることと、積立を止めることも別の話です。積立を止めても保有は続きますし、保有を続けても積立は止められます。2つのレバーがあると知っておくだけで、全部やめるという選択に飛びにくくなります。
ただし、金額を下げるのも止めるのも、締切の関係で反映が翌月になることがあります。手続きの条件は金融機関ごとに違うので、公式の案内で確認してください(2026-08-04時点)。
続けられる形にしておく(3つの設計)
- 自動にする。毎月ログインして注文を出す形にすると、毎月「いまは買うべきか」を判断することになります。積立の設定は、その判断を毎回しなくて済むようにするための仕組みです。金融庁も、続けて投資することで「安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまうことを避けられる」と説明しています(2026-08-04時点)。
- 見る頻度を先に決める。私は半年に一度と決めています。頻度に正解はありませんが、決めていない状態がいちばん見すぎます。ニュースを見た日に開かない、というだけでもだいぶ違います。
- 現金の置き場を分けておく。近い予定の支出と、当面の生活費を先に現金で分けておくと、下がった局面で売らずに済みます。売らなくていい状態を作るのは、気持ちの持ち方ではなく資金の置き方の話です。
金額が重いと感じているなら、設計より先に金額を見直すほうが早いです。積立の設定手順をはじめから確認すると、金額と買付日と引き落としをまとめて直せます。
やめたほうがいい場面も、あります
続けることが目的ではありません。次に当てはまるなら、止めるか下げるほうが筋が通っています。
- 生活費や近い予定の支出に手をつけないと積立が回らない。順番が逆になっています。
- 金利の高い借入の返済が滞っている。返済のほうを先に進めたほうが、家計全体では計算が合いやすい場面があります。
- 数字が気になって眠れない。金額を下げても解けないなら、いったん止めていいと思います。再開はできます。
止めることを負けだと思わないほうがいいです。私は15年やって大きく負けて、そこから設定を全部組み替えました。組み替えられるうちは、まだ終わっていません。
私の場合と、いま押すボタン
私は1974年生まれの団塊ジュニアで、人材紹介会社の社長をやり、自分でも転職を5回、6社を渡り歩いてきました。金融商品取引業の登録も、投資助言の登録もしていない個人です。制度に関する内容は、金融庁のNISA特設ウェブサイトで2026-08-04に確認した範囲のもので、それ以外は自分の経験です。
いまの私がやっていることは多くありません。金額を決めて、日付を決めて、半年に一度だけ残高を見る。短期をやっていた15年より、明らかに手数が減りました。
……と書いておいて何ですが、手数が減ったぶん退屈です。相場が動いた日に何もしないでいるのは、いまでも少しむずむずします。私は最初の1年、けっこう画面を開いていました。そこを越えるまでが、いちばん止めたくなる時期でした。
最後に線を引いておきます。投資信託には元本割れのおそれがあります。続ければ報われる、という約束は誰にもできません。私の記録は私の結果であって、あなたの結果を約束するものではありません。続けるかどうかも、金額をいくらにするかも、判断はいつも、あなた自身のものです。
お金まわりは、どこから手をつけるかで消耗の量が変わります。お金まわりでやることの順番を見ると、今日やることが1つに絞れます。
制度も各社の条件も変わることがあるので、最新は金融庁および口座を開く金融機関の公式情報でご確認ください。
