申立ての相談で、まず聞かれるのが「家計簿、ありますか」
自己破産の相談に行くと、最初のほうでよく聞かれることがあります。
「ここ数か月の家計簿、残っていますか」という一言です。
家計簿なんて何年もつけていない、という人ほど、ここで身構えます。
正直なところ、身構えなくて大丈夫です。
でも裁判所が見たいのは、何年分の几帳面さでもありません。
家計簿アプリを何日続けたか、でもありません。
安心してください。
求められているのは、申立ての直前にあたる数か月分の出入りだけです。
この記事では、自己破産の申立てで使う家計収支表を中心に書きます。
何を、いつから、どこで集めるかを順番に並べます。
手続きそのものを進めるかどうかは、また別の話です。
自己破産を含めた手続き全体では、誰に相談すればいいかが借入先の残高で分かれます。
その判断基準は別のページに書いてあります。
先に全体の流れをつかみたい方は手続きの種類と担当が決まる基準をご覧ください。
ここでは、申立てに向けた書類の準備だけに絞って進めます。
家計収支表は、特別な帳簿ではなく家計簿を月ごとに書き直したもの
家計収支表という名前を聞くと、専用の書式を一から作る作業に感じるかもしれません。
実際は、毎日の家計簿を1か月ごとの表に書き直したものです。
日々のレシートを1枚ずつ説明する必要はありません。
書くのは、収入と支出を費目ごとにまとめた1か月分の金額です。
給与のほかに年金や傷病手当、副業の収入があれば、それも合わせて書きます。
家賃や水道光熱費、通信費、食費も同じように月単位でまとめます。
一般的な家計簿アプリとは、ここが違うところです。
日付ごとの記録ではなく、費目ごとの合計金額を書きます。
裁判所が見ているのは、暮らしの中でお金がどう動いているかという全体像です。
私は、破産を申し立てた経験はありません。
ただ、制度を一つずつ確認しながらこの記事を書いています。
まとめ方さえ分かれば、作業そのものは思ったより小さく収まります。
用意するのは直近2か月分。申立ての2〜3か月前から動き出す
多くの裁判所で求められるのは、申立ての直近2か月分です。
浪費や使い込みの疑いがある場合は、半年分以上の提出を求められることがあります。
この判断は窓口ごとに違うため、自分の場合がどちらに当たるかは相談時に確認してください。
作り始める時期の目安は、申立ての2〜3か月前です。
家賃や水道光熱費、通信費といった固定費の領収書やレシートは、このタイミングから残しておくと後が楽になります。
手元に無いものは、後から明細を取り寄せれば足ります。
2か月分の支出を、1か月分にまとめて書くことはできません。
実際にお金が動いた月に、その月の金額として書きます。
この扱いは、どの窓口でもおおむね共通しています。
書き方で迷ったら、世帯全員分・月ごと・費目ごとの3点で決める
書き方で迷ったら、3つの点だけ押さえてください。
①同じ世帯の人全員の収入・支出をまとめて書く。
②1か月分をひとまとまりで書く。
③日付ではなく費目ごとに金額を記入する。
この3つが、一般的な家計簿との大きな違いです。
自分の分だけを書けばいいわけではありません。
同居する家族の収入や支出もあわせて記載します。
金額に大きなズレがあると、窓口から説明や修正を求められることがあります。
ざっくりとした記憶ではなく、通帳の記録と見比べながら書くと安心です。
分からない項目は空欄のままにしないでください。
分からない理由を一言添えておくと、後のやり取りが減ります。
書式そのものは、依頼先から渡されることが多いです。
自分で一から様式を考える必要はありません。
次の章では、書式の違いと、誰に手伝ってもらえるかを見ていきます。
家計収支表のほかに集める書類と、取れる窓口
家計収支表のほかにも、そろえる書類はいくつかあります。
代表的なものが、給与明細・源泉徴収票・課税証明書・預貯金通帳の写しです。
取得先は、それぞれ違います。
給与明細は、直近2〜3か月分を勤務先から受け取ります。
源泉徴収票は、1〜2年分が目安です。
手元にない場合は、勤務先に再発行を頼みます。
再発行が難しいときは、別の書類で代えられる場合があります。
住所地の市役所や区役所で、課税証明書を取る方法です。
収入が無い年であれば、非課税の証明書になります。
課税証明書は、その年の1月1日時点で住んでいた市役所・区役所の窓口で取れます。
預貯金通帳は、1〜2年分の写しを求められることが多いです。
通帳を失くしていても、発行していた支店に頼めば、その期間分の入出金明細を出してもらえます。
住民票や課税証明書などは、発行から3か月以内のものを求められます。
先に取ってしまうと、申立ての時期によっては期限切れという事態になりかねません。
取る順番にも、少し気を配っておくと二度手間が減ります。
書式は窓口ごとに違う。誰に、何を手伝ってもらうか
家計収支表の書式は、全国共通ではありません。
裁判所ごとに、あるいは依頼する事務所ごとに、使う様式が違います。
迷ったら、自分で工夫するよりも、依頼先が渡す書式にそのまま従うほうが早いです。
この書類作成は、弁護士や認定を受けた司法書士に相談・依頼できます。
ただし、個人再生・自己破産を選ぶ場合は、司法書士に依頼しても代理人にはなれません。
できるのは、申立てに使う書類をそろえる作業の支援までです。
代理人として手続きそのものを任せたい場合は、弁護士に相談してください。
ここが分かれ目です。
この線引きは、借入先1社あたりの残高によっても変わる部分があります。
先に借入先1社あたり140万円の分かれ目を確認しておくと、誰に何を頼むかを決めやすくなります。
はたの法務事務所のような司法書士の法人に依頼する場合も、立場は同じです。
肩書きは「代理人」ではなく「書類作成の支援」です。
裁判所でのやり取りそのものを代わってもらう、という意味ではありません。
今日からできるのは、数字を2か月ぶん書き出すことだけ
引っ越しの荷造りのように、段ボールが何箱も必要になるのでは、と身構える人もいます。
白状すると、想像していた量はいつも多すぎます。
実際にそろうのは通帳の写し・給与明細・課税証明書・家計収支表のA4数枚です。
思ったより薄いファイル1冊で足りることが多いはずです。
もっとも、書類さえそろえば気持ちが軽くなるかといえば、そうとは言い切れません。
手続きを申し立てるかどうかを決めるのは、また別の話です。
書類の準備と手続きを進める決断は、分けて考えてかまいません。
今日からできるのは、通帳の記録を見ながら数字を書き出すことだけです。
直近の数か月分で足ります。
書式や手続きの流れ、事務所選びで確認したい点は、事務所選びで確認したい5つの点に先にまとめてあります。
数字をそろえ終えてから、そちらを読んで相談先を決めても遅くありません。
この記事を書いた人
しばお
かつて人材紹介の会社を経営していました。
法律の専門資格は持っていません。
運営者の経歴は運営者プロフィールのページで確認できます。
最後に一つだけ。
この記事の内容は2026年10月9日に確認しています。
制度は変わることがあるため、申立てを検討する際は窓口で最新の内容をご確認ください。
