手続きのあとも、手元がゼロになるとは限りません
自己破産という言葉を調べはじめると、まず不安が先に来ます。
現金も車も家も、全部なくなるのか。
結論を先に言うと、そうではありません。
生活に必要な財産は、自由財産として手元に残ります。
しばおは法律の専門家ではありません。
お金の仕組みを調べて書く仕事をしてきました。
この記事では、現金・車・持ち家の順に見ていきます。
残るものと処分されるものの境目が今日のテーマです。
この記事を書くために、複数の法律事務所が公開している解説を並べて読み比べました。
白状すると、同じ制度なのに残せる金額の説明が事務所ごとに違っていて、最初は混乱しました。
どこが法律で決まった金額でどこが裁判所の運用なのか、見分けがつくまで何度も読み返しています。
現金は99万円まで、何もしなくても残ります
自己破産をしても、現金は99万円まで自由財産として手元に残ります。
これは裁量ではなく、破産法34条3項1号で決まっている金額です。
金額の組み立ては、二つの政令にまたがっています。
民事執行法の施行令が、標準的な世帯の2か月分の生活費を66万円と定めました。
破産法の施行令がそこへ33万円を加えるので、合計の99万円が手元に残る現金の上限になります。
ここでいう現金は、手元の紙幣と硬貨を指すものです。
銀行の預貯金は、扱いが別です。
車や保険は、20万円という目安が運用で使われます
現金以外の財産にも、残せる余地があります。
これを自由財産の拡張と呼びます。
裁判所が個別に判断し、処分しなくてよい財産を広げる仕組みです。
拡張を認めてもらうには、破産管財人への申し出が必要になります。
公開されている解説でよく挙がるのは、車や生命保険の解約返戻金です。
評価額が20万円以下なら、処分しなくてよいという目安があります。
ここは裁判所ごとの運用差です。
通勤や送り迎えに車が欠かせない方もいます。
評価額が目安を超えていても、分割で買い取れる場合があるそうです。
評価額は、業者に売ったときの買取額に近い基準で見られます。
年式が古いほど評価額は下がり、結果として枠に収まることも多いです。
申立ての前に、簡単な見積りを取っておくと話が早く進みます。
テレビや冷蔵庫、衣類といった生活用品は、別の扱いです。
法律で差し押さえが禁止されている財産にあたるため、評価額の枠とは関係なく手元に残ります。
持ち家は、原則としてこの枠に入りません
持ち家は、多くの場合で最も高額な財産です。
この手続きでは、原則として自由財産の対象になりません。
破産管財人が売却するか、競売にかけます。
その代金は、債権者への配当に回る決まりです。
住宅ローンが残る持ち家を手放したくない場合、個人再生で住宅ローン特則を使える可能性があります。
どちらが合うかは、収入や借入先の状況で変わります。
足し算で考えると、見通しを間違えます
現金の99万円と、拡張で残った財産を足し算して考えるのは早いです。
多くの裁判所は、現金も含めた財産の合計を99万円の線で見ています。
つまり、現金で99万円を持っていれば、車や保険を重ねて残す余地はほとんどありません。
どの財産がどの枠に入るかは、自分で判断しないでください。
窓口で確認するのが確実です。
読み比べていて説明が割れたのは、まさにこの一点でした。
合計で見ると書く解説と、枠ごとに分けて書く解説が混ざっていました。
どちらの扱いになるかは、申立て先の裁判所でしか決まりません。
自分で足し算をしてから相談先を選ぶと、見通しが大きくずれます。
相談の前に、自分の財産を書き出しておくと話が早いです
相談に行く前に、手元にある財産を一覧にしてください。
現金と預貯金の金額、車の年式と型式、生命保険の種類をメモします。
査定額や解約返戻金そのものまでは、自分で調べなくてかまいません。
すでに弁護士や司法書士に相談済みで、残せる財産の範囲を聞いている方は、ここは読まなくても大丈夫です。
ここで一つだけ、強く伝えておきたいことがあります。
残せる枠を増やしたくて、現金を家族名義に移したり、財産を隠したりしないでください。
見つかったときに免責が認められなくなる、重い事情になります。
自分がどの手続きに向いているかは、財産の話とあわせた確認が必要です。
相談先の選び方と手続きの種類を先に見ておくと、財産の話がどこに当てはまるかが分かりやすくなります。
自由財産を知る目的は、再出発を怖がることではありません。
今の生活の土台がどこまで残るかを先に知って、次の相談に進むためです。
この記事を書いた人
しばお
かつて人材紹介の会社を経営していました。
法律の専門資格は持っていません。
運営者の経歴は運営者プロフィールのページで確認できます。
自由財産の基準は、複数の法律事務所の公開情報をていねいに見比べて確かめました。
この記事の内容は2026年10月10日に確認しています。
実際にどこまで残せるかは、財産の組み合わせと申立て先の裁判所で変わります。
自分で結論を決めつけず、相談の際に窓口でご確認ください。
