検索窓に「損益計算 エクセル 自分で」と打った、その手が止まった理由
証券口座なら、年明けに書類が黙って届きます。
「特定口座の年間の取引報告書」というものです。
数字を写すだけで、申告書はほぼ完成します。
暗号資産には、それがありません。
取引所ごとにバラバラの履歴が残るだけです。
1年分をまとめてくれる人は、どこにもいません。
「エクセルで自分でやればいいはずだ」。
そう思って検索窓を開いたところで、手が止まった方へ書いています。
正直なところ、暗号資産の税金は後回しにしたくなる話です。
それでも、自分でできる範囲と手に負えない範囲は、はっきり分かれています。
まずは、その境目から確かめましょう。
エクセルで足りる人と、最初から手に負えない人を分ける3つのチェック
エクセルに向かう前に、次の3つを確認してください。
1つ目は、使っている取引所の数です。
国内1社だけで現物を売買しているなら、写す数字はそれほど多くありません。
2つ目は、取引の中身です。
レンディングやステーキングでの受け取りがあるかどうかを見ます。
暗号資産どうしを交換した経験の有無も、ここで見ておきたい点です。
該当する取引があるほど、1件ごとの円換算の手間が増えます。
3つ目は、年間の取引件数です。
数件から数十件なら、手作業でも見渡せます。
件数が積み上がるほど、1件を数え間違えるリスクも積み上がります。
3つとも「国内1社・現物のみ・数件程度」に近いなら、このままエクセルで進めて大丈夫です。
どれか1つでも外れているなら、最初から自動計算のツールに頼ったほうが早いです。
結果的に、そのほうが時間も短く済みます。
海外取引所やDeFiがある人向けのツール比較を、先に見ておくとよいでしょう。
選び直す手間が、それだけ省けます。
総平均法と移動平均法、迷ったらどちらを選ぶか
計算方法は、総平均法と移動平均法の2種類です。
国税庁の案内では、届出をしていなければ総平均法を使ったものとして扱われるとされています。
最新の内容は、公式サイトでご確認ください。
総平均法は、1年分をまとめて最後に1回だけ平均単価を出す方法です。
移動平均法は、買うたびにそのつど平均単価を計算し直す方法です。
手間は増えますが、期中の損益がより正確に見えます。
取引回数が少ない、あるいは初めての申告なら、総平均法で進めて差し支えありません。
方法を変更するには、届出が必要です。
期限は、確定申告の期限と同じタイミングです。
正確な日付は、その年の国税庁の案内で確認してください。
国税庁の計算書エクセルに、実際の数字をどう入れていくか
ここからは、実際の入力をイメージしてもらうための、簡単な例です。
たとえば、次のような取引が1年間にあったとします。
数字は、すべて説明用の仮のものです。
- 1月:10万円で0.1BTCを購入しました。
- 6月:追加で15万円分の0.1BTCを購入しました。
- 12月:保有していた0.1BTCを14万円で売却しました。
総平均法なら、まず1年間の購入合計を出します。
購入合計は、10万円と15万円を足した25万円です。
購入した数量の合計は、0.2BTCです。
25万円を0.2BTCで割ると、平均単価は1BTCあたり125万円になります。
売却した0.1BTC分の取得価格は、125万円に0.1をかけた12万5千円です。
売却額14万円から、この12万5千円を引きます。
残る1万5千円が、この年の所得として計算書に反映される数字です。
国税庁の計算書エクセルには、購入と売却の数量・金額を1行ずつ入力していく作りになっています。
取引所からダウンロードした年間の取引報告書を、見ながら写す流れです。
銘柄が複数あるなら、ビットコインとイーサリアムでシートを分けます。
それぞれ別々に計算します。
無料で使える範囲や対応している取引所は、変わることがあります。
登録の前に、公式サイトの記載をご確認ください。
計算結果をそのまま申告に使えるかどうかは、ご自身での確認が必要です。
自分で計算していて、実際に手が止まる3つの場面
ここまでは、きれいに数字が並んだ場合の話です。
実際にやってみると、次の3つの場面で手が止まります。
1つ目は、複数の取引所を使っているときです。
取引所ごとにCSVの列の並びが違います。
1つの表にまとめる前に、フォーマットをそろえる作業が発生します。
2つ目は、暗号資産どうしを交換したときです。
たとえば、ビットコインでイーサリアムを買った場合です。
そのときのビットコインの時価で、一度円に換算し直す必要があります。
円が動いていないのに、計算上は利益が発生することがあります。
3つ目は、レンディングやステーキングで暗号資産を受け取ったときです。
受け取った時点の時価が、その時点の所得として別枠で計上されます。
後から取得単価を追跡する作業が、1つ増える形です。
この3つのどれかに当てはまった時点で、エクセルの手間は一気に増えます。
計算ツールを4つ並べて比較した記事に、それぞれ向いている取引の幅をまとめてあります。
自分の状況に近いものを、そちらで探すほうが早いはずです。
計算に自信が持てないときに、申告前にもう一度確かめること
数字を出し終えても、不安が消えないことがあります。
そういうときは、提出前に次の2つだけ見直してください。
1つ目は、年間の取引報告書と自分の入力が、件数の数だけ一致しているかです。
1件でも抜けていれば、そこだけ数字がずれます。
2つ目は、取得した数量の合計と、売却・保有中の数量の合計が一致しているかです。
一致していなければ、どこかの入力で数量を間違えています。
この2つが一致していれば、大きな数え漏れは防げます。
細かい計算式を、全部見直す必要はありません。
それでも不安が残るなら、個別の判断は税務署か税の専門家に相談してください。
自分の取引が、エクセルで足りる側かどうかを今日決める
ここまでの3つのチェックと3つの壁を踏まえると、次にやることは1つです。
自分の取引を、2つのどちらかに仕分けてください。
国内1社・現物のみ・数件程度の「エクセルで足りる側」。
複数取引所やDeFiを含む「ツールに頼ったほうが早い側」。
エクセルで足りる側なら、国税庁の計算書エクセルをダウンロードするところから始められます。
年間の取引報告書を、手元に用意しておきましょう。
そうでないなら、損益計算ツールの候補を見比べる記事で、自分に合うものを先に確かめてください。
入力をやり直す回数が、それだけ減ります。
この記事は、計算方法の一般的な流れを整理したものです。
個別の金額や申告の要否については、国税庁の公表資料、または税務署・税の専門家に確認してください。
暗号資産は価格が大きく動き、元本割れの可能性があります。
この記事は結果を約束するものではなく、最終の判断はご自身に委ねます。
書いているのは、しばおという55歳の会社員です。
資格は名乗れませんが、国税庁の公表資料を確かめながら整理しました。
運営者としての詳しい話は、しばおの運営者情報にまとめています。
情報の最終確認日:2026年9月4日
料金プランや対応している通貨の条件は、変わることがあります。
最新の内容は公式サイトでご確認ください。
申告の中身で迷う点は、税務署や税理士にご相談ください。

