通勤の電車でスマホを開くと、「都心の中古ワンルーム」の動画がまたスルッと流れてきます。
同僚が「あれ、始めたらしいよ」と言っていた話も、頭の隅に残っている。
やってみる価値があるのか、やめておくほうがいいのか。
その線が、まだ引けていない状態だと思います。
この記事は、その線を引くための物差しを1本だけ渡します。
物件の良し悪しを言い当てる話ではありません。
どの物件の話を聞いても、同じ手順で「あり」か「なし」かを自分で決められるようにする話です。
立地、中古、ワンルーム。
手堅そうな言葉が3つ並ぶと、人は電卓を出す前にうんうんとうなずいてしまう。
うなずいた首を一度もとに戻して、電卓を出すところから始めましょう。
相談先をどう選ぶかから考えたい方は、不動産投資の相談先の選び方と判断基準を先に読むと話が早く進みます。
「あり」か「なし」かは、物件ではなく条件で決まります
先に答えの形だけ伝えると、都心の中古ワンルームは「条件しだいで、あり」です。
その条件はひとつしかありません。
毎月の家賃で、ローンの返済と経費をまかなえるかどうかです。
私は不動産投資を、こう考えています。
他人のお金(銀行の融資)で買い、他人のお金(入居者の家賃)で返していく。
返した元本の分だけ、物件のうち自分の持ち分が積み上がっていく。
この形が崩れなければ、自分の給料に手をつけずに純資産が積み上がっていく形になります。
崩れて、毎月自分の財布から足すようになると、話はまるで変わります。
私も自分で一棟持っていますが、買うときに確かめたのは、極端に言えば1つだけでした。
月々の手残りがプラスになるかどうか、です。
月々の手残りを、自分で出してみる
判定に使うのは、引き算です。
面談や資料で、次の数字を月ごとに出してもらってください。
- 毎月の家賃(いま入っている額と、入れ替わったときの見込み)
- ローンの返済額(返済期間と金利の前提も一緒に)
- 管理費と修繕積立金
- 固定資産税(年額を12で割る)
- 管理会社へ払う手数料
1から2〜5を引いて、残りがプラスなら第一関門は通過です。
マイナスなら、その条件では見送ります。
第二関門は、悪いほうへ動かしてみることです。
空室の月や家賃の下落、修繕積立金や金利の上昇を、表に1つずつ足していく。
それでもプラスが残るかを、同じ表の上で確かめます。
返済期間を長く取ると、毎月の返済は軽くなる。
そのかわり、払う利息の総額は増えます。
長く借りるのは手残りを守るための交渉で、得をするための技ではありません。
この計算は、相手が出した数字をそのまま足し引きするだけです。
難しい式はいりません。
紙に5行書いて、引き算を2回する。
えっ、それだけ? はい、それだけです。
営業の熱量より頼れる判断材料が、これで手に入る。
相談先ごとの違いを見比べたいときは、新築と中古の違いにも触れた相談先の比較が役に立ちます。
比べてから決めたい方へ
ほかの相談先も候補に入れたい方向けです。
都心は貸しやすい。でも、手残りは出にくい
ここで、「都心」という言葉を少しほどいておきます。
都心の物件は、入居者が見つかりやすい。
これは都心の強みです。
一方で、値段が高いぶん利回りは低めになります。
利回りが低いと、家賃だけでは返済と経費をまかなえず、毎月の手出しになりがちです。
金融機関はその手出しを見ています。
手出しが続く計画には、融資がつきにくくなる。
物件が悪いから断られるのではありません。
計算が合わないから断られる、という順番です。
反対に、値段が安くて利回りが高い場所にも落とし穴があります。
思った以上に値下がりし、入居者探しにも苦労する。
高い利回りが、目減りと空室で消えてしまうのです。
| 場所の性格 | 起きやすいこと | 手残りとの相性 |
|---|---|---|
| 地価が大きく上がる場所 | 貸しやすいが、値段が高く利回りが低い | 手出しになりやすい(資金に余裕がある人向け) |
| 地価が建物の目減りを打ち消す程度に上がる場所 | 値段が横ばいになりやすく、利回りも極端に低くない | プラスと両立しやすい |
| 値段が安く利回りが高い場所 | 値下がりと空室で利回りが削られる | 見た目ほど残らない |
建物は、年数とともに価値が下がっていきます。
それでも需要のある地域では、地価の上昇がその目減りを打ち消し、値段が横ばいになりやすい。
中古を選ぶ意味は、そこを価格と家賃の実績で確かめられることにあります。
ただ、横ばいは約束ではありません。
地価が下がる局面や、その地域の需要が細る局面では打ち消されません。
ワンルームは1戸あたりの土地の持ち分が小さいので、地価が支える力も一棟より弱めになりえます。
だからこそ、需要が強い場所かどうかを自分の目で確かめるわけです。
確かめ方は、業者の説明に頼らなくても公開情報で足ります。
- 人口と世帯の流入が続いているか
- 駅と都心までの距離
- 賃貸の募集がどのくらいの期間で埋まっているか
- 国土交通省の地価公示や、都道府県の地価調査の推移
頭金は、消えるお金ではありません
都心の中古ワンルームで手残りをプラスにしようとすると、頭金を入れる話がよく出てくる。
ここで「頭金を入れると損をする」と感じる方が多いのですが、中身は少し違います。
頭金は、財布から消えたお金ではなく、引っ越したお金です。
現金という部屋から、物件の持ち分という部屋へ移っただけ。
しかも引っ越し先の大家さんは、あなた自身です。
売ったときに手元へ戻るのは、売れた価格からローンの残りと売るときの費用を引いた額です。
入れた頭金のぶん借りる額が減っているので、利息の総額も減っています。
裏側も、同じ分量で書いておきましょう。
売値が下がれば、戻る額も減ります。
頭金がそのまま戻る保証はありません。
売るまでは現金として使えません。
急な出費に備える手元資金は、頭金とは別に残してください。
持ち分の価値を守るのは、値下がりしにくい場所を選ぶことです。
頭金を入れて手残りをプラスにすることと、場所で選ぶことは、1本の理屈でつながっています。
値上がり益は、あてにしなくてかまいません。
純資産は、家賃でローンを返すことで積み上がるからです。
家賃保証は外して、判断を自分で持つ
ワンルームの話を聞くと、家賃保証(サブリース)を勧められることがあります。
空室でも一定の家賃が入るという仕組みです。
聞こえはいい仕組みです。
一方で国土交通省は、消費者庁と連携してサブリース契約のトラブルに注意を呼びかけています。
2018年の発表では、賃料の減額をめぐるトラブルが起きていることを挙げ、オーナー自身がリスクを理解することが大切だとしています。
保証の家賃は見直されて下がることがある。
こちらから契約を解きにくい場合もある。
入居者と直接つながれず、保証の分だけ手取りも減ります。
需要が続く場所を選べていれば、空室は短めの期間で埋まりやすい。
保証料を払ってまで家賃保証を付ける理由は、そう大きくありません。
集金や入居者募集の作業は、管理会社に任せる集金代行で足ります。
裏側は、保証を外せば空室の間の家賃が入らないことです。
月々の計算に空室の月を入れておくのは、このためです。
この判断が向かない人もいます
ここまでの物差しに照らすと、都心の中古ワンルームが向かない人もはっきりします。
- 頭金を入れると、急な出費に回せる手元資金がほとんど残らない人
- 手残りがマイナスの条件でも、とにかく今買いたい人
- 値上がり益で取り返す前提でしか計算が合わない人
- 家賃保証が付いていないと、空室の月を受け止められない人
- 家賃・修繕・入居者の判断を、ずっと他人に任せたい人
どれかに当てはまるなら、今は見送るのが自然な判断です。
見送ったからといって、何かを失うわけではありません。
条件がそろったときに、同じ物差しでもう一度測ればいいのです。
不動産投資に元本の保証はありません。
収支は、空室や家賃の下落、修繕や金利で動きます。
この記事も、特定の物件や将来の値段を約束するものではありません。
数字を見せてもらう場では、この表を埋めてもらう
物差しが手に入ったら、次は数字を持っている相手に会って、表を埋めてもらう番です。
中古を軸に話を聞くなら、東京の中古ワンルームを中心に扱う日本財託のセミナーが候補になります。
自社のコラムで、サブリースより集金代行を勧めている会社です。
家賃保証に頼らない考え方と、話の向きがそろっています。
申し込む前の確認事項は、日本財託のセミナーを申し込む前に確認することで確かめられます。
セミナーで全体像をつかんだあと、個別の物件の数字を見る場があれば、聞くことは同じです。
この物件で、家賃から返済・管理費・修繕積立金・固定資産税を引いた月々の手残りを出していただけますか。空室が出た月と、金利が上がった場合の数字もお願いします。
その場で決めないと決めてから行くと、断るのも難しくありません。
聞いた数字はその日のうちに紙へ写し、家でもう一度引き算をしてください。
条件は変わることがあります。
申し込む前に、公式サイトの最新の表示をご確認ください。
しばおが、この物差しを書ける理由
私は不動産を、自分でも一棟持っています。
買うときに、いちばん重く見たのは毎月の手残りです。
この記事の物差しは、その判断をそのまま文章にしたものです。
私は宅地建物取引士でも税務の専門家でもなく、金融商品取引業の登録もありません。
物件の紹介も売買の仲介もできません。
書けるのは、話を聞く前に持っておく物差しまでです。
運営者について詳しくは運営者情報のページをご覧ください。
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