会社から、55歳になった人向けの処遇の説明会の案内が届く。
資料を開くと、役職手当がなくなったあとの月給が、表になって載っている。
その数字を見た夜、50代のSEが検索窓に向かう場面は、きっと珍しくありません。
調べると、「50代は厳しい」という話と「50代でも決まった」という話が、同じ画面に並びます。
どちらを信じるか、迷いますよね。
この記事では、55歳からの処遇と外の年収帯を、1枚の紙に並べる手順を書きます。
動くか残るかを決めるのは、その紙を見たあとで十分です。
外の年収帯を聞ける相談先は、ITエンジニア向け転職エージェントの比較にまとめています。
動く前に、まず紙で比べる
転職は5回、6社を経験しました。
零細企業からグローバルメーカーまで渡り歩いたので、職歴欄の行数だけは人に負けません。
人材会社をやっていた時期もあり、送り出す側の事情も少しは分かります。
変えてみるのは大事だと、わたしは考えています。
ただ、仕事を変えるのは、試してすぐ戻るのが難しい変化です。
だから、動く前にいまの条件と移る先の条件を、同じ項目で紙に並べておきたいのです。
頭の中だけで比べると、不安の大きいほうが勝ちます。
紙に書くと、不安の多くが、数字で比べられる項目だったと気づくことがあります。
動くと決めなくても構いません。
比べた結果、いまの会社に残る答えになったなら、それは自分で選んだことになります。
50代のIT転職は、数字で見るとどうなのか
厚生労働省のIT・デジタル人材の調査(2024年3月公表)に、こんな結果があります。
5年以内にIT・デジタル職へ転職した人のうち、40〜54歳でも賃金が上がった人は、ほぼ60%でした。
リクルートの調査では、40〜50代で前職より賃金が1割以上増えた転職者の割合が、2014年度の15.6%から2023年度の27.4%に上がっています。
一方で、2023年度でも1割以上増えたのは約4人に1人です。
賃金が上がった人は、ITスキルと、職種が変わっても使える力の両方が高い傾向にありました。
数字から読めるのは、年齢の壁が薄くなったところまでです。
誰にでも開いている市場になったわけではありません。
だから、自分の場合はどうなのかを、自分の数字で確かめる意味があります。
55歳の処遇と、外の年収帯を並べる3段
紙は1枚、列は2つです。
左に「いまの会社の55歳以降」、右に「外で聞いた年収帯」を書きます。
- 左の列に説明会資料の数字を写す(月給・賞与・手当・60歳以降)。
- 右の列に面談で聞いた年収帯を書く。
- 両方を月の手取りに直す。
- ローンと学費の引き落とし額を引く。
右の列は、自分では埋められません。
求人サイトの平均値ではなく、自分の経験を見た人が口にする幅が要るからです。
ここで役に立つのが、40代以上に絞った窓口です。
どの窓口がどの年代と職種を対象にしているかは、ITエンジニアの相談先を年代と経験で比べた一覧に並べました。
面談は決める場ではなく、右の列を埋める場です。
右の列が薄くなりやすい人
paiza経由で採用された40歳以上のITエンジニアでは、求められたものの上位が次のとおりでした(2019〜2021年の採用者・2022年公表)。
プロジェクトマネジメントが57.1%、マネジメント経験が51.8%です。
データがやや古い点は、割り引いて見てください。
それでも、「現場の手を動かした年数」より「人と日程を動かした経験」が見られていたことは読み取れます。
設計やテストを20年続けてきた人でも、人や日程を動かした場面を言葉にできていないと、右の列は薄くなります。
常駐先での障害対応の件数、取りまとめた人数、守った納期。
こうした数字が、書類の上では、経験の厚みとして読まれるのです。
書類では、1つの仕事につき、人数と期間と自分の役割を1行で書くと伝わります。
「8人のチームで、1年の更改を、リーダーとして納期どおりに終えた」くらいの粒度が目安です。
左の列だけで、残る判断もできる
右の列を埋める前でも、左の列だけで見えることがあります。
たとえば、60歳以降の雇用形態です。
再雇用になった場合の月給や勤務日数は、会社によって幅があります。
資料に書かれていないなら、人事に一度聞いてみてください。
聞くこと自体は、転職の意思表示にはなりません。
残るにしても、60歳から先の月の手取りが分からないまま過ごすのは、少し心細いものです。
では、右の列が埋まったとき、何を見ればいいのでしょうか。
見るのは、手取りの差と、その差が何か月で生活費の1か月分になるかです。
差が小さくても、仕事の中身や通勤の負担が変わるなら、それも同じ紙の端に書き足しておきましょう。
今日やるのは、左の列だけ
今日やることは、左の列を埋めるところまでです。
説明会の資料を開き、55歳以降の月給と手当を、手帳の端に書き写してください。
右の列は、窓口の面談で一度聞けば埋まります。
面談を申し込む先は、40代以上のIT経験者が使える転職窓口から選べます。
左の列を書いた紙を手元に置いてから申し込むと、聞きたいことがぶれません。

