6月の面談で「来年度の希望は?」と聞かれ、何も答えられずに帰ってきた夜。「看護師 転職 タイミング 年度途中」と検索した人に向けて書いています。

結論を先に置きます。年度途中に動くかどうかは、空気ではなく自分の紙の上で決まります。就業規則の退職申出期限と、賞与の支給要件と、有給休暇の残日数。この3つを1枚に書き出せば、答えは自然に出ます。

年度途中の退職は、制度のうえではふつうのことです

まず前提から。期間の定めのない雇用であれば、いつでも解約を申し入れることができて、申入れの日から2週間を経過すると雇用は終了します。民法627条1項にそう書いてあります(2026-08-04時点、e-Gov法令検索で確認)。年度末に限る、という決まりはどこにもありません。

ただし、実務でこの2週間だけを見るのは現実的ではありません。多くの職場は就業規則で「退職の申出は◯か月前まで」と定めていて、シフトの組み替えと引き継ぎが必要だからです。見るべきは民法ではなく、あなたの職場の就業規則です。詰所か事務室、あるいは職員向けのイントラネットにあります。

つまり「年度途中はダメ」ではなく、「年度途中だと、申出から退職までの逆算が少し忙しい」というだけの話になります。

待つか、動くかで変わる3つの数字

ここは淡々といきます。年度末まで待つ判断と、年度途中で動く判断で、実際に金額が変わるのは次の3つです。

項目 どこを見るか
賞与 就業規則・給与規程の支給要件。「支給日に在籍していること」を要件にしている職場かどうか
年次有給休暇 残日数と、次の付与日。年次有給休暇の権利は、発生の日から2年で時効により消滅します(労働基準法115条)
退職金 勤続年数の刻み方。何年何か月で係数が上がるのか

3つとも、法律で全国一律に決まっているものではありません(有給休暇の時効を除く)。あなたの職場の規程にしか答えがありません。だからこそ、ネットの一般論を何本読んでも決まらないのです。

もう1つ、よく気にされるのが「年度途中は求人が少ないのでは」という点です。求人の出方は、退職者が出た施設側の都合で決まります。年間の傾向を断定する材料を私は持っていないので、ここは書きません。かわりに、実際の求人数を自分の目で見るほうが早い、とだけ言っておきます。

逆算カレンダーの作り方

紙かメモアプリに、下から順に書きます。所要10分です。

  1. 賞与の支給日を書く(給与規程を見る)。
  2. 就業規則の退職申出期限を書く(例:2か月前)。
  3. 希望する最終出勤日を仮置きする。
  4. 3から2を引いて、師長へ話す日を出す。
  5. 4よりさらに1〜2か月前に、求人を見はじめる日を置く。
  6. 有給休暇の残日数を、3の直前にまとめて置けるか確認する。

この6行が埋まると、「年度途中かどうか」という問いは自然に消えます。残るのは「◯月◯日に話す」という予定だけです。

詰まりやすいのは1番と2番です。給与規程と就業規則は、職場によって置き場所が違います。イントラネットにない場合は、事務室に「就業規則を確認したい」と言えば見せてもらえます。労働基準法106条は、就業規則を掲示・備付けなどの方法で労働者に周知させることを使用者に義務づけています。ここで遠慮すると、あとの逆算がまるごと止まります。

いま動かなくていい人

次のどれかに当てはまるなら、今回は見送っても損はしません。

  • 退職金の係数が上がる勤続年数まで、あと数か月しかない
  • 取得中・取得予定の研修や資格が、いまの職場の在籍を前提にしている
  • 異動や配置換えの希望を、まだ職場に出していない

3つめは意外と大きいです。転職と異動は、どちらも「場所を変える」手段です。安いほうから試すのは、悪い順番ではありません。

私が5回動いてみて分かったこと

私は転職活動を5回して、6社を渡り歩きました。人材紹介会社の社長をやっていた側の人間でもあるので、送り出す側と動く側の両方を見ています。

その経験でいちばん効いたのは、動く時期の巧拙ではありませんでした。安く買われるシステムから、安く買われないシステムへ乗り換えたことです。自分がこれくらいの価値なんだ、というのを自分自身で決められる場所に立つ。そこさえ動けば、月がいつかはあとから調整できます。

……とはいえ、私も1回目は「区切りのいい時期」を待って半年ほど動けませんでした。待っているあいだに条件が良くなったかというと、そんなことはなかったです。待つ理由が数字で書けるなら待つ、書けないなら書けるところまで調べる。それだけの話でした。

次に見るもの

日付が決まったら、次は求人の集め方です。登録から最初の連絡までに何が起きるかを、初めての転職サイトの使い方を手順で確かめるページに順番どおり並べてあります。公的サイトで登録前に見る数字も、そちらにまとめました。

この記事を書いた人

しばおと申します。1974年生まれの団塊ジュニアです。人材紹介会社の社長をやっていた側の人間で、自分自身も転職活動を5回、6社を渡り歩いてきました。

本文中の制度・数値は2026-08-04時点で確認したものです。賞与・退職金・申出期限は職場ごとに違うので、必ず自分の就業規則と給与規程で確かめてください。