個人再生で家を残せるかは、申立ての前に確かめられる
個人再生を考え始めた方が、いちばん気にかけるのは自宅です。
借金は減らしたいけれど、家までは手放したくない。
そう考えて、「住宅ローン特則」という言葉にたどり着きます。
この特則は、誰でも使えるわけではありません。
使えるかどうかは、申立ての前に、手元の書類でおおよそ確かめられます。
登記簿という字面だけで肩がこわばる私ですが、見る場所は3か所だけです。
どこに相談するかで迷っている方は、先に債務整理で最初に相談する先の選び方を見ておくと、この記事の条件も当てはめやすくなります。
住宅ローン特則は、住宅ローンを払い続けながら他の借金を減らす仕組み
個人再生では、借金の一部を大きく減らして、原則として3年ほどかけて返します。
ただし、住宅ローンは、そのままでは減らせません。
放っておくと、抵当権を持つ金融機関から、自宅を競売にかけられるのです。
そこで、使えるのが民事再生法にある通称「住宅ローン特則」です。
住宅ローンは約束どおりに払い続けます。
そのぶん、カードローンなど他の借金だけが減る形です。
家を残せる代わりに、住宅ローンの支払いは続きます。
毎月の返済を無理なく続けられるかどうかが、前提です。
使える条件は、住宅・住宅ローン・担保の3つで見る
多くの法律事務所の解説では、条件は次の3つに分けて説明されています。
1つ目は、対象の建物が「住宅」であることです。
2つ目は、対象の借入が「住宅ローン」であることになります。
3つ目は、その自宅に住宅ローン以外の担保が付いていないことです。
この3つを、順に見ましょう。
1つ目の「住宅」は、自分が所有して、自分が住んでいる建物のことです。
床面積の2分の1以上が、専ら自分の居住に使われている必要があります。
店舗と兼用の家でも、居住部分が半分以上なら対象になります。
2つ目の「住宅ローン」は、住宅を買う・建てる・直すために借りたお金です。
分割払いの約束があるものが対象です。
事業資金や生活費を、自宅を担保にして借りた場合は、ここに入りません。
使えなくなりやすい3つの場面
住宅ローン以外の抵当権が付いている
いちばん多いのは、自宅に住宅ローン以外の抵当権や差押えが入っているケースです。
たとえば、事業資金を借りるときに、同じ自宅を担保に入れた場合です。
特則付きの再生計画が通っても、その担保を持つ会社が競売を申し立てれば、家を手放すことになります。
登記簿の証明書を見れば、抵当権が何本付いているかが分かります。
順位が2番目以降に並んでいたら、要注意のサインです。
手続きごとの向き不向きは、個人再生を含む債務整理の相談先の分け方で詳しく書いています。
自分が住んでいない、または居住部分が半分に満たない
別荘や、貸している物件は、自己の居住用ではないため対象になりません。
一時的に単身赴任で離れていて、家族が住んでいる場合は、問題にならないとされています。
賃貸併用の家は、居住部分が半分以上かどうかが分かれ目です。
保証会社の代位弁済から6か月が過ぎている
住宅ローンを滞納すると、保証会社が金融機関に立て替えて払うことがあるのです。
これを代位弁済といいます。
多くの解説では、代位弁済から6か月以内なら、立て替えをなかったことにできるとされています。
その場合は、分割払いに戻せるのです。
6か月を過ぎると、特則は使えません。
滞納が続いている方は、金融機関や保証会社から届いた書面の日付を、早めに確認してください。
条件を満たしても、返済を続けられるかは別に見られる
3つの条件が合っていても、それだけで認められるわけではありません。
再生計画をやり遂げられる見込みがあるかどうかが、裁判所で別に見られます。
見られるのは、住宅ローンと、減らした借金の両方を払い続けられる収入です。
毎月の安全が先で、背伸びした計画は通りにくいものです。
どこまでが現実的かは、収入や家族の状況で変わります。
手元で確かめるなら、この順番が進めやすい
準備は、次の3つです。
どれも、専門家に会う前に自分でできます。
1つ目は、住宅ローンの契約書と返済予定表を探すことです。
借入の目的と、残高、毎月の返済額が分かります。
2つ目は、法務局で自宅の登記簿の証明書を取ることです。
抵当権の数と、設定した会社の名前が分かります。
3つ目は、滞納の有無と、保証会社からの書面の日付を見ることです。
代位弁済の日付があれば、6か月の線に近いかが分かります。
全部そろってから動く必要はありません。
嫌なら戻ればいいので、まず1つ探してみる。
それだけでも、状況はかなり具体的になります。
自分の場合に使えるかは、相談先で確かめられる
ここまでは、共通する全体像でした。
実際に使えるかどうかは、自宅の登記や、借入の中身しだいです。
誰に何を相談するかは、借金の額で決まってきます。
家を残せるかどうかの見当も、3つの条件でおおよそ付くはずです。
個人再生の申立ての進め方や費用は、相談先ごとに異なります。
自分の借入額に合う相談先を確認するところから、順に進めてください。
この記事を書いた人
しばお
かつて人材紹介の会社を経営していて、家族の保険や資産、決済の使い分けにも自分で手を動かしてきました。
運営者の経歴は運営者プロフィールのページで確認できます。
今回は、住宅ローン特則の条件について、法律事務所が公開している解説を見比べながら書きました。
情報の最終確認日は2026年9月25日時点です。
条件の当てはまりや手続きの進め方は、個々の事情や裁判所によって異なります。
実際に進めるときは、最新の内容を相談先や申立て先の裁判所で確認してください。

