「共働きだと上限が上がる」と聞いて、本当かなと思った人へ
職場で「うちは共働きだから枠が大きい」と言われた。あるいは、育休から復帰した年に「今年は去年と同じでいいのかな」と迷った。この記事にたどり着く人は、たいていそのあたりだと思います。
先に結論を書きます。上限は世帯ではなく一人ずつに付きます。夫婦で合算はできません。そして上限を動かしているのは「共働きかどうか」そのものではなく、配偶者控除や扶養控除が付いているかどうかです。読み終わると、どちらの名義で寄付するかの決め方が分かります。
上限は「世帯」ではなく「一人ずつ」に付きます
ここが出発点です。総務省のよくある質問では、所得税や住民税を納めている人が寄付金控除を受けられるため、控除を受けるにはその納税者本人がふるさと納税を行う必要があると説明されています。寄付を行った形式も本人である必要があります(2026-08-04時点。最新は公式でご確認ください)。
つまり、夫の枠と妻の枠を足して片方の名義で寄付する、という使い方はできません。それぞれの名義で、それぞれの上限の内側で寄付するのが基本の形です。二人とも働いていて、二人とも住民税を納めているなら、二人ぶんの枠があるということでもあります。
逆に、片方が扶養に入っていて所得税・住民税を納めていない場合、その人の側には差し引く税金がないので、寄付をしても控除は効きません。この場合の枠は、働いているほう一人ぶんです。
なぜ扶養や配偶者控除で上限が変わるのか
ここは正確さが要るので、淡々と書きます。ふるさと納税の上限を実質的に決めているのは、住民税からの控除の「特例分」で、この特例分には住民税の所得割額の20%という天井があります。国税庁も総務省も、この天井に当たると3つの控除を合計しても(寄付額-2,000円)の全額は控除されず、自己負担が2,000円を超えると明記しています。
所得割額は、収入から所得控除を差し引いた課税所得に対してかかります。ここまでは制度の説明です。そこから機械的に導けるのは、次の関係です。
- 所得控除が増える → 課税所得が減る → 所得割額が減る → 特例分の天井が下がる
- 所得控除が減る → 課税所得が増える → 所得割額が増える → 特例分の天井が上がる
配偶者控除も扶養控除も、所得控除です。だから、配偶者控除が付いている人は、付いていない人より上限が低く出ます。「共働きだと上限が上がる」と言われるのは、共働きだと配偶者控除の対象にならないことが多いからで、共働きという状態そのものにボーナスがあるわけではありません。
国税庁の基準では、控除対象配偶者となるのは、その年の12月31日の現況で、年間の合計所得金額が58万円以下(給与のみなら給与収入123万円以下)などの要件をすべて満たす人です。この金額は令和7年12月1日に施行され令和7年分から適用されるもので、令和6年分以前は48万円以下(給与収入103万円以下)でした。ここは近年動いている数字なので、必ず最新を確認してください。
控除額そのものも、控除を受ける本人の合計所得金額で変わります。900万円以下なら一般の控除対象配偶者で38万円、900万円超950万円以下で26万円、950万円超1,000万円以下で13万円、1,000万円を超えると配偶者控除は受けられません(令和7年4月1日現在法令等・2026-08-04閲覧)。
パターン別に、どう見ればいいか
| 状況 | 枠の数 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 二人とも働いていて、どちらも配偶者控除の対象外 | 2つ(それぞれの名義で) | それぞれの通知書の所得割額を別々に確認する |
| 片方が働き、もう片方が扶養に入っている | 1つ | 配偶者控除が付いているぶん、上限は低めに出る |
| 片方がパートで、扶養の境目あたり | 状況による | その年の合計所得が要件を満たすかで、控除の有無が変わる |
| 子どもを扶養に入れている | 入れている側の枠が下がる方向 | 夫婦のどちらの扶養に入れているかで、両方の上限が動く |
| 育休・産休で年の途中から収入が下がった | 要確認 | その年の所得割額が読めないので、通知書が来てから動くほうが安全 |
子どもをどちらの扶養に入れるかは、ふるさと納税だけで決める話ではありません。健康保険や会社の家族手当の条件とも関係します。ふるさと納税の上限を上げるために扶養の入れ方を変える、という順番は取らないほうがいいと思います。効果の大きさが釣り合いません。
夫婦で確かめる手順(3ステップ)
- 二人ぶんの住民税の通知書を並べる。会社員なら「市民税・県民税 特別徴収税額決定通知書」が例年5月中旬以降に勤務先から配られます。自分で納めている人は「納税通知書」が例年6月初旬に届きます。
- それぞれの「所得割額」を見る。横浜市は、特別徴収の通知書なら「税額」欄の所得割額、普通徴収の納税通知書なら2ページ目「合計年税額の内訳」の「差引所得割額」を見るよう案内しています(2026年4月1日更新のページで確認・2026-08-04閲覧)。通知書に載っているのは前年の所得にもとづく金額なので、あくまで目安です。
- それぞれ別々に、公式の計算に入れる。国税庁は、総務省のふるさと納税ポータルサイトに「寄附金控除額の計算シミュレーション」のコーナーがあると案内しています。合算せず、一人ずつ通します。
詰まりやすいのは3番です。世帯年収を入れてしまう人がいます。入れるのは一人ぶんの数字です。世帯で合算した数字を入れると、実際より大きい上限が出てしまいます。
私の場合と、確認しておきたいこと
私は1974年生まれの団塊ジュニアで、税の専門家ではありません。この記事の内容はすべて総務省・国税庁・自治体の公表内容にひもづけて書いています。家族構成や扶養の入れ方は人それぞれなので、個別の判断はお住まいの市区町村か税務署に聞くのが確実です。
ふるさと納税は、私自身は今年で3回目です。ほぼタダでもらえるようなもんだ、というのが正直な感想で、年に4〜5回、自分では買わない値段の食材が届いて家族には評判がいい。
……と書いておいて何ですが、二人ぶん動かすと、面倒も二人ぶんになります。申請書も二人ぶん、封筒も二人ぶん、本人確認書類のコピーも二人ぶん。枠が広がるのは事実ですが、手を動かす量もそのまま倍になります。片方だけ先に慣れてから、翌年もう一人ぶんを足す、という進め方でも遅くありません。
そもそも自分の枠がどこにあるかは、通知書の所得割額から追えます。一人ぶんの上限額を出すやり方を確かめると、二人ぶんを同じやり方で並べられます。
この記事の制度に関する数値は2026-08-04時点の公表内容にもとづいています。配偶者控除の金額や要件は近年変わっているので、最新は国税庁、総務省ふるさと納税ポータルサイト、お住まいの市区町村の案内でご確認ください。
