封筒が5通たまってから「これ、申告いるの?」となった人へ

年末に何件か寄付して、返礼品とは別に自治体から封筒が届き始めた。中身を見て「これは出すやつなのか、確定申告するやつなのか」で手が止まる。この記事にたどり着く人は、だいたいそこだと思います。

先に結論を書きます。分かれ目は2つだけです。①寄付先の自治体が5団体以内かどうか ②ふるさと納税とは関係なく確定申告をする用事があるかどうか。この2つで、確定申告がいる人といらない人がきれいに分かれます。読み終わると、自分がどちらの列に並ぶかが決まります。

原則は「確定申告がいる」。例外がワンストップ特例

順番を間違えると混乱するので、原則から書きます。総務省は、寄付金控除を受けるためには原則として確定申告を行う必要がある、と説明しています。期限は寄付をした翌年の3月15日までです(2026-08-04時点。最新は公式でご確認ください)。

その例外として、平成27年4月1日から始まったのがふるさと納税ワンストップ特例(確定申告をしないで済ませる手続き)です。総務省の説明では、確定申告の不要な給与所得者等で、寄付先の自治体数が5団体以内である場合に限り、寄付をした各自治体に申請することで確定申告が不要になります。

つまり「申告しなくていい人」は、例外に当てはまった人だけです。何もしなければ控除は受けられません。寄付しただけでは税金は1円も減らない、というのはここの話です。

いらない人・いる人の分かれ目(4つの条件)

ここは正確さが要るので、淡々と書きます。横浜市は、次に当てはまる人はワンストップ特例の適用対象外になると案内しています(2026年4月1日更新のページで確認・2026-08-04閲覧)。下に1つでも当てはまると、申請書を出していても「申請はなかったもの」として扱われます。

  • 5団体を超える自治体へふるさと納税を行った人
  • 寄付した年の翌年度の住民税申告書、または寄付した年分の確定申告書を提出した人
  • 寄付した年分の確定申告書の提出義務がある人
  • 申請書に書いた住所と、寄付した翌年の1月1日に住んでいる自治体が違う人のうち、1月10日までに変更の届を出していない人

裏返すと、4つのどれにも当てはまらない給与所得者は、確定申告はいりません。各自治体にワンストップ特例の申請書を出せば終わりです。

「確定申告の提出義務がある人」とは

3番目の条件が分かりにくいので、国税庁の基準を並べます。給与所得者でも、次のいずれかに当てはまる人は確定申告をしなければならない、とされています(令和7年4月1日現在法令等・2026-08-04閲覧)。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 1か所から給与を受けていて、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える人
  • 2か所以上から給与を受けていて、年末調整されなかった給与収入と、給与所得・退職所得を除く各種所得金額の合計が20万円を超える人
  • 同族会社の役員などで、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

副業の所得が20万円を超えた年、給与を2か所からもらった年が、会社員でいちばん多く当たるところです。

「申告する用事がある年」も、こちらに寄せる

提出義務まではなくても、自分から確定申告をする年があります。医療費控除、住宅ローン控除の初年度、寄付以外の控除を受けたいとき、などです。

国税庁は、ワンストップ特例の申請書を出した人でも、確定申告を行う場合は特例の申請が無効となるため、申請した分も含めて寄付金控除額を計算する必要があると明記しています。ここを落とすと、医療費は戻ったのにふるさと納税の控除が消える、という形になります。

横浜市も、当初の税額通知のあとに期限後申告をした場合、当初の通知でワンストップ特例分の控除が適用されていても、その分の控除はなかったものとみなされる、と案内しています。あとから申告する予定が少しでもあるなら、最初から確定申告に寄せておくほうが事故が起きません。

どちらを選ぶかで、期限と戻り方が変わります

項目 ワンストップ特例 確定申告
使える人 確定申告が不要な給与所得者等で、寄付先が5団体以内 誰でも(5団体を超える人・申告義務がある人は必ずこちら)
出す先 寄付した各自治体 住所地を所轄する税務署
期限 寄付をした翌年の1月10日(多くの自治体が必着として案内) 寄付をした翌年の3月15日まで
所得税からの控除 行われない その年の所得税から控除(還付)
住民税からの控除 所得税分も含めた全額が翌年度の住民税から控除 翌年度の住民税から控除

総務省は、ワンストップ特例の適用を受けた人について、所得税からの控除は発生せず、寄付をした翌年の6月以降に支払う住民税の減額という形で控除が行われる、と説明しています。現金が振り込まれるのは確定申告のときの所得税分だけで、住民税は「減る」だけです。ここを知らないと、翌年に通帳を見て不安になります。

手続きの手順(どちらの列でも共通の3つ)

  1. 寄付先の自治体の数を数える。件数ではなく自治体の数です。同じ自治体に3回寄付しても1団体として数えます(総務省のよくある質問でも、条件は自治体数で示されています)。
  2. その年に確定申告をする用事があるかを確認する。医療費、住宅ローン控除の初年度、副業の所得、2か所給与。1つでもあれば確定申告の列です。
  3. 列が決まったら、書類をそろえる。ワンストップ特例なら各自治体の申請書と本人確認書類。確定申告なら寄付金の受領証、または国税庁長官が指定した特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」です。後者は令和3年分の確定申告から使えると国税庁が案内しています。

詰まりやすいのは1番です。寄付した本人は「5件しかしていない」と思っていても、同じサイトから別の自治体を選んでいると自治体数が増えます。まず注文履歴を自治体名で並べ直すのが確実です。

私の場合と、確認しておきたいこと

私は1974年生まれの団塊ジュニアで、税の専門家ではありません。この記事の内容はすべて総務省・国税庁・自治体の公表内容にひもづけて書いています。個別の判断は、住所地の市区町村か税務署に聞くのが確実です。

ふるさと納税は、私自身は今年で3回目です。ほぼタダでもらえるようなもんだ、というのが正直な感想で、年に4〜5回、自分では買わない値段の食材が届いて家族には評判がいい。

……と書いておいて何ですが、この申請の工程がいちばん面倒くさいです。封筒が届いて、書類を書いて、本人確認書類のコピーを取って、投函する。買い物の勢いのまま一気にやれる作業ではないので、私はここで1回止まります。年末に寄付を増やした年ほど、封筒がばらばらに届いて管理が雑になりました。

逆に言うと、面倒なのはここだけです。列が決まってしまえば、あとは書いて出すだけの作業になります。

自分がどちらの列かを決めるには、そもそも上限の内側に収まっているかが先に要ります。会社員の上限額の調べ方を手順つきで確認すると、寄付の件数と金額を同時に組み立てられます。

この記事の制度に関する数値は2026-08-04時点の公表内容にもとづいています。変わることがあるので、最新は総務省ふるさと納税ポータルサイト、国税庁、お住まいの市区町村と寄付先の自治体の案内でご確認ください。