新しい会社で、初めての年末調整の紙を渡された。
人事の人に「前の会社の源泉徴収票も出してくださいね」と言われて、引き出しを探し始める。
探しながら、別のことが頭をよぎります。
今年のふるさと納税、上限はどっちの年収で見ればいいんだっけ。
正直、源泉徴収票は1枚でも探すのに10分かかります。
2枚になると、探す時間が2倍になるわけではない。
片方が見つからない確率が、2倍になっちゃうんです。
先に答えを書くと、上限は前職と現職の年収を足した金額で見ます。
この記事で書くのは3つ。
転職した年の上限額が何で決まるか、源泉徴収票が2枚あるときに足す欄はどこか、ワンストップ特例が使える条件は何か。
読み終わると、今年いくらまで寄付するかを自分の数字で決められます。
寄付先のポータルをどこにするかは、ふるさと納税ポータルを比べる5つの基準で別にまとめています。
転職した年の上限、どっちの年収で見るの?
答えは「どっちか」ではなく、両方の合計です。
ふるさと納税の控除を、総務省は「1月から12月の年単位」で扱うと説明しています。
前の会社でもらった給与と、今の会社でもらう給与は、同じ年なら1つの所得。
だから、上限の目安を出すときの年収も、前職と現職を足した金額になります。
上限の中身を、1つだけ。
住民税から引かれる特例分には、住民税の所得割額の2割という天井があります。
所得割額はその年の所得で決まるので、年収が去年と変われば天井も動く。
去年の源泉徴収票で目安を出した人は、今年の数字でもう一度出し直すことになります。
年収が上がった人は上限が広がり、下がった人は狭まる。
狭まるほうの人が去年と同じ額を寄付すると、超えた分の多くは自己負担になります。
ここまでが決まり方。
次は、2枚の紙のどこを見るかです。
源泉徴収票が2枚あるとき、足すのは「支払金額」
では、どの欄を足せばいいのか。
見るのは、いちばん上の「支払金額」です。
手順は4つに分かれます。
- 前の会社の源泉徴収票を手元に用意する。
- 前職分の「支払金額」を書き出す。
- 今の会社の分は、12月まで働いた見込みで出す。
- 2と3を足した金額を、年収として目安の計算に入れる。
1の紙は、退職時に受け取っているはずです。
見つからなければ、前の会社に再発行を頼めます。
2の「支払金額」には、税金や社会保険料を引く前の総支給の合計が入っています。
3は、給与明細の支給額を12月まで足し上げた数字。
賞与が出る予定なら、それも足します。
4で使う計算は、ふるなびの簡易版なら入力が2つだけです。
給与収入と、配偶者の有無。
詳しい版を使うなら、社会保険料や各種の控除も入れていきます。
1つ、補足。
年末調整で前職分を合算してもらった場合、今の会社から受け取る源泉徴収票の「支払金額」には、前職分がすでに入っています。
国税庁の手引にも、中途就職者の分を通算して年末調整をした場合はその総額を書く、とある。
その紙を受け取ったあとなら、足し算はいりません。
ただし、年末調整の結果が出るのは12月の下旬。
ふるさと納税の締切も12月なので、多くの人は紙を待たずに見込みの年収で目安を出すことになります。
見込みで出すときは、目安の数字より少なめにとどめるのが私の考えです。
見込みが外れて上限を超えると、超えた分の多くが自己負担になります。
下に余らせた分は控除を受け損ねるだけで、お金は減らない。
外れ方の損の大きさが、上と下で違うんです。
ここまでが、年収の出し方です。
数字がそろったら、あとは上限の目安を出して、締切と手続きの分かれ目を順に確かめるだけ。
上限額の確かめ方と締切を順番に見ると、今日のうちに寄付額まで決められます。
11月に転職した人が、いちばん詰まるところ
詰まるのは計算ではなく、紙の往復です。
年末調整で前職分を合算してもらうには、前の会社の源泉徴収票を、今の会社が決めた締切までに出す必要があります。
国税庁は、前の会社の支払額などが源泉徴収票で確認できない場合は年末調整をしない、と説明しています。
紙が間に合わないと、今の会社は年末調整そのものを見送る形になる。
そうなると、自分で確定申告をして1年分をまとめる流れです。
確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例の申請は、出していても無効になります。
寄付した分は、確定申告のほうに全部書き直すことになります。
ここで起きやすい取りこぼしが1つ。
ワンストップの申請書を出したから済んだ、と思って確定申告に寄付を書かない。
これをやると、寄付した額のうち2,000円を超える部分は、どこからも引かれません。
11月に転職した人の年末を、順番に並べるとこうなります。
- 前の会社に源泉徴収票をもらう(まだなら頼む)。
- 今の会社の年末調整の締切を聞き、間に合うなら出す。
- 間に合わないなら、確定申告をする前提に切り替える。
- 寄付の目安は、見込みの年収で出す。
- 確定申告になった人は、寄付の全部を申告書に書く。
5は、ワンストップの申請書を出していた人も同じです。
手続きの話を書いていて、我ながら面倒だと思います。
申し込みは数分で終わる。
なのに、紙は何種類も届き、行き先はそれぞれ別です。
いちばん時間がかかるのは書くことより、どの封筒が何の手続き用かを思い出すことかもしれません。
ポータルを見比べるなら、上限確認後に選ぶポータルの比較基準が、締切まわりの違いも扱っています。
比べてから決めたい方へ
ほかのポータルも候補に入れたい方向けです。
ワンストップ特例、転職した年でも使える?
条件を満たせば使えます。
総務省の説明では、ワンストップ特例が使えるのは「確定申告の不要な給与所得者などで、寄付先が5団体以内の人」。
転職したこと自体は、条件に入っていません。
当てはめると、分かれ目は年末調整です。
- 年末調整で前職分も合算してもらい、ほかに確定申告をする理由がない人。
- 年末調整に前職分が間に合わなかった人、確定申告をする人。
- 年の途中で退職して、年内に再就職しない人。
1つめの人は、ワンストップ特例を使えます。
寄付先ごとに申請書を出すだけです。
2つめの人は、確定申告のほうで寄付の全部を申告します。
医療費控除や住宅ローン控除の初年度で申告する人も、ここに入ります。
ワンストップの申請書は、出していても無効です。
3つめの人は、年末調整を受けられません。
納め過ぎた税金を戻す申告(還付申告)をするなら、寄付もその申告に書きます。
申請書の期限は、寄付の翌年1月10日です。
住所などが変わったときの変更の届けも、総務省は翌年1月10日までと案内しています。
転職と同時に引っ越した人は、申請書を出した寄付先の自治体それぞれに、変更の届けを出す。
書類の名前が長いので、自治体の案内にある名前で探すのが早いです。
申請はオンラインでできる自治体も増えています。
ふるなびでは、対応している自治体ならマイナンバーカードとアプリで申請できます。
対応していない自治体は、紙で出す。
今年は少なめでいい人、見送っていい人って?
全員に向く年ではありません。
次に当てはまる人は、今年は見送るか少なめにしても、損はしません。
- 年の途中で退職し、年内に再就職しない見込みの人。
- 年収が去年より大きく下がった人。
- 転職の前後で、手元の現金に余裕がない人。
1つめは、その年の所得が小さくなり、引かれる税金そのものが少ない年です。
上限も小さくなります。
2つめは、去年の感覚で寄付すると、超えた分の多くが自己負担になる人。
見込みの年収で出し直してから決めます。
3つめは、立て替えの話です。
寄付は先に全額を払い、控除は翌年以降。
立て替えの期間が長い点は、転職した年も変わりません。
逆に、年内に転職先で働き始めていて年末調整で前職分を合算してもらえる人は、やることが例年と同じです。
年収を足して目安を出し、少なめの額で寄付先を決め、申請書を出す。
年末調整に間に合わない人も、確定申告に寄付を書けば控除は受けられます。
例年どおり進められそうな人は、ワンストップか確定申告かの分かれ目を確かめるところまで進めてしまうのが早いと思います。
で、私は何者かというと
私は1974年生まれ。
かつて人材会社をやっていて、自分でも転職を5回、6社を渡り歩いてきました。
税の専門資格は持っていません。
この記事に書いた制度の話は、総務省と国税庁の公表内容にひもづけています。
個別の判断は、住所地の市区町村か税務署に聞くのが確実です。
ふるさと納税は、今年で3回目。
白状すると、手続きは面倒です。
申し込みのあとに封筒が届き、書いて、投函する。
控除が正しく反映されているかは、私も少し気になっています。
住民税の通知が届いたら、控除の欄を見れば確かめられる。
条件は変わることがあります。
申し込む前に、総務省のふるさと納税ポータルサイトと、寄付先の自治体が出す最新の案内をご確認ください。
寄付先をどこで探すかまで決めたい方は、ポイント制度の変更後に見るポータルの基準を続けてどうぞ。
この記事を書いた私の経歴は、運営者情報のページにまとめています。
ふるなび|公式サイト
ふるさと納税は、申込みをしただけでは完了しません。
決済まで済ませて、寄付の受付が確定したことを必ずご確認ください。
控除の上限額は収入や家族構成で変わります。

